【ショートエッセイ】日本舞踊が思い出させてくれる、美しくあろうという気持ち
日本舞踊の演目『うぐいす』の主人公は恋する少女だ。茶道のお稽古をしながら、愛おしい人を待っている。
この演目を踊っている時に、38歳ででっぷりとなってしまった私は、いかに舞の中で10代の娘のように、可憐に見えるかを考える。普段は猫背だが、猫も驚くくらい背をそり、客席から姿勢がきれいに見えるようにする。首や足、腕の角度を何度も変え、一つひとつの振りが客席から恋する少女に見えるように試行錯誤する。そしてなにより、恋する主人公の気持ちを自分に憑依させるべく、今は愛している夫に恋し