ウロコに込められた想い
いまだに感染者が出ていない岩手県。南部鉄器の街。アマビエ流行っているなぁとなんとなくTwitterのタイムラインをめくっている時に知った、南部鉄器の老舗 及富(OITOMI)さんが作る、アマビエさまの形をした南部鉄玉。
南部鉄器と言えば、くろぐろとした鉄の急須のイメージはあったけれど、「鉄玉...?」なあにそれ?ということで南部鉄器の歴史を調べてみた。どうやら平安時代後期に近江国(現在の滋賀県)より初代奥州藤原氏・藤原清衡が鋳物師を東北地方に招いたことが始まりのようだ。北上山地には砂鉄がよく取れる土壌があり、良質の砂、粘土もあったそう。だから、遠い地から伝わった鋳物業が栄えたらしい。藤原氏が平泉に移ると、一緒に鋳物業も平泉へ。中尊寺の備品なども、鋳造されていたそうだ。中尊寺金色堂には、中学三年生の修学旅行へ行ったなあ。大人になってからは十和田湖や奥入瀬渓流、青森県立美術館に行ったきりなので、またゆっくり岩手を訪ねたい。
で、鉄玉というのは、鉄分を補給するためのいにしえの知恵。手のひらで握れるくらいのサイズ、シルバニアファミリーのうさぎの人形くらいのサイズ感。鉄でできているので、ずっしりと重みはある。
届いてしばらく窓辺に飾っていたのだが、やはりせっかくだから煮物を作ろう!と思い、今日は初釜(?)した。一度鍋でお湯を沸かして、茹でる(?)ステップを踏んだのち、お料理に使えるようになるらしい。
グラグラと湧くお湯の中に鎮座するアマビエ鉄玉...なんともご利益がありそう。
及富さんによると、茄子の煮物に入れると紫色がものすごく美しく出るらしい。今日は大根と鶏肉の煮物だったため、鉄分のみの活躍であるので、また茄子を煮たら写真を載せたいと思う。
ちなみに、このアマビエ鉄玉を購入するか悩んでいた時に、ちょうどポッドキャスト3回目の録音をしていた。アマビエがなぜ厄除けなのか?着物を嗜んでいる自分の頭の中には「鱗柄」がすぐ思い浮かんだ。昨年会えぬ人となってしまった着付けの師匠様が教えてくれた話「二十歳になるとね、昔は母親が娘に、鱗柄の着物とか小物を贈ったのよ。鱗には、魔物を除ける力があると信じられていたのよ。あなたの伊達締めが、鱗柄。」着付けのお稽古2−3回目くらいの時に、肌襦袢を着ている最中の私を見て口にした言葉がすごく印象的だった。蛇や龍など、昔の人が畏れていた生き物には鱗がある。島国日本のご馳走、魚にも鱗がある。「逆鱗に触れる」など、「鱗」が登場する故事成句も多い。昔から日本では、鱗を纏った生き物に、人間には持ち得ない、神々しい力を感じていたのかもしれない。
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