満願寺の仏様 其の参

 満願寺の本堂とつながっている毘沙門堂には、御本尊の毘沙門天様の他に二体の地蔵菩薩様がいらっしゃいました。どちらもたいへん個性的な地蔵菩薩様なので、目が離せず、長い時間お像の前に坐って拝観しました。

 背の高いほうの地蔵様は、本堂で先ほど拝観させて頂いた薬師如来様に全体の感じが良く似ておられました。一見すると(少し失礼な例えかもしれませんが)昭和初期の少年漫画の中から抜け出て来た無邪気な小学生のように素朴なお姿です。どこか不思議で懐かしい、面長なお顔は微かに笑っておられました。

 もう一方の地蔵様は反対に、口をぐっと閉じて何か思い詰めたように一点を凝視されているお姿でした。お姿が幼子の様に丸味を帯びているので、その真剣なお顔の表情が余計に印象深かったです。

 そして最後に拝観させて頂いたのは帝釈天様でした。先ほどの背の高い地蔵菩薩様や本堂の薬師如来様よりも衣紋の彫り方はより簡素で、丸みを帯びたところがほとんどなく、全体にカクカクとした感じです。

 お顔の彫り方もわざと人に似せることを拒んだ感じなので、表情を読み取らせていただけませんでした。最後にお会いした仏様の前で少し突き放されてしまった気がしました。

 しかし、それは私の仏様に対する信心が足りないからなのだと思います。仏様を信じておられる方たちにとっては、仏様の外見はあまり意味を持たないんだろうなぁと思います。

 そして、仏様のお姿に、美しいとかなんとか言ってみたり、或いは、次から次へと新しい仏様を拝観しようとしたりするのも、きっと私がまだまだ煩悩具足の凡夫だからなのに違いありません。

 最後に少し、日頃の行いを反省しました。