お遍路さんへのお接待
以前から四国でお遍路さんをしてみたかったので、女房と徳島県へ行きました。
全部歩くのは年齢的にも大変ですし、気温も高いので、基本は歩いて、バスも使って回りました。
霊山寺で身支度を整え、必要なものを買い揃えました。
本堂にお参りする時は、お経を唱えるのですが、どうやって唱えるのかわからないなぁと思っていたら、今日、たまたま本堂の当番になったという、高齢の女性が、いっしょに唱えましょうと、お声をかけてくださいました。
その方は、暗記されてるはずなのに、私たちの横で、経本を見ながら、私たちに合わせてゆっくり唱えてくださいました。
お経が終わると、「これも何かのご縁ですから、お接待しましょう」と、ムクロジの御守りを下さいました。
ムクロジは「無患子」(子が患わない)と書き、縁起の良いもので、更にお釈迦様も数珠の材料はこの実がいいですよって推薦してる実です。
こんな物いただいて良いのかなと思いましたが、せっかくなので、有り難く頂戴しました。
これが『お接待』の始まりでした。
一日目は、民宿に泊めていただきましたが、朝ごはんのテーブルには、お弁当が置かれていました。
歩いて回るお遍路さんは、食堂やお店がないところを歩くことが多いのでお弁当が便利なのです。
私たちが歩いて回っていると分かったので、それを用意してくださったのだと思います。
この日歩いた道には、コンビニがなくて、このお弁当がとてもありがたかったです。
3番札所に伺ったのは朝方でしたが、朝から暑くて汗だくになっていたら、納経所の窓口の方が、「歩いて回ってるんですね。そんなお遍路さんを暑さで脱落させる訳にはいかないです。これで首を冷やしながら歩いてください」と、お水を入れてカチカチに凍らせた、ペットボトルをくださいました。
次のお寺まで歩いていると、今度は乗用車が私たちの前の方に止まり、中から女性が降りてこられて、「お接待させてください。熱中症にお気をつけください」とおっしゃられて凍らしてあるアクエリアスのハンディパックをくださいました。
驚きました。
ただ歩いていて何かをいただくということは、私の住んでいる大阪ではあり得ないことなので、嬉しいより先にとてもビックリしました。
その他にも、庭の手入れをされてる方や、畑仕事をされてる方に、「どこへ行かれる」と、声をかけられたり、自転車ですれ違われる方が「暑いねー」と、声をかけてくださったりしました。
四国にはお遍路さんに対して、見返りを期待しないで親切にする風習があると伺っていました。
お遍路さんの杖には「同行二人」と、書かれています。
お遍路さんはいつも弘法大師様と一緒に歩いて、助けてくれているということを表しています。
しかし、お接待を初めて受けて思ったのは、一緒に歩いて下さっているのは、弘法大師様だけでなく、四国全部の人なんだということです。
いつも誰かに見守られていて、ピンチになれば必ず助けが来る。そんな安心感を、歩き始めたばかりですが、今回、早くもそれを強く感じました。