神宮寺感應院 河内のSUPER MODEL
大阪府八尾市にある高野山真言宗のお寺です。隣にある恩智(おんぢ)神社の神宮寺で、明治時代の神仏分離までは、神社の境内にあったそうです。
十一面観音様は、十二世紀初頭に作られた、1メートル余りの、ひのきの一木造です。
この辺り、恩地の里を母木(おものぎ)というそうで、昔から母木観音と呼ばれ、地元の方の信仰を集めていたそうです。
十一面観音様がおられる観音堂は、本堂と共に10年前に建て替えられたそうで、ヒノキの良い香りがしました。
三角屋根で吹き抜けのお堂は、梁が剥き出しで、開放感に溢れています。
破風の上部にはめ込みの大きな窓が有り、大変明るく、内装にも無垢の木が随所に使われ、モダンなペンションのような雰囲気でした。
観音様を見た瞬間「うぁー」と声が出ました。
なんて気品のある観音様でしょうか。
写真で拝見していたのとは全く違う印象でした。
とにかくきれいです。
信じられない思いで、しばらくじっと見とれてしまいました。
下から見上げると、頬のあたりがすらっとしています。
小さめの口をきっとむすび、
美しい眉と切れ長の目元が大変涼しげです。
以前、テレビの取材で来られた方も、「平安のスーパーモデル観音」と言われたそうですが、お顔が小さく足が長いので本当にモデルさんの様です。
お身体が前傾しているので、伸び上がるような勢いを感じます。
腕から垂れている天衣の先が外にはねていたり、下げておられる右手の細い指先が微かに曲げらていて、全体の印象を更に繊細なものにしています。
頭上面は、頭頂部の一体を除いてたいへん小さく作られています。
その頭上面が隠れるという理由で、普段はしておられない宝冠も見せて下さいました。
宝冠をこんな近くで拝見するのは初めてでドキドキしました。
大変細かな細工がしてあり、現代のような機械がない時代、これを作るのには途方もない手間と時間が、かかったんだろうなと思いました。
観音様の隣のお厨子には、小さな愛染明王様がお祀りされていました。
どうしてだか分かりませんが、たいへん横幅があるお姿です。
ですので、一生懸命怖い顔をされているのですが、逆にそこがまた可愛く「愛染明王様ってこんなに可愛くて良いのかしら」と思ってしまいました。
本堂も拝見させて頂きました。昨日、護摩を焚かれたそうで、うっすらと煙の匂いがしました。
須彌壇中央の不動明王様が御本尊様かと思いましたが、本来は図像の不動明王様がいらっしゃるそうです。
奥様が、お厨子を開けて、室町時代の十一面観音図像を見せて下さいました。
こういった古い図像の仏様をすぐ近くで拝見するのも初めてでした。
仏像に施されているより、なお一層細かな切金細工で描かれていて、驚きました。
本堂の外に出ると大変見晴らしが良く、遠くの方にうっすらと、淡路島が見えました。
奥様が、夕日が沈む景色がたいへんきれいですとおっしゃられていました。
ぜひまた、訪れたいと思いました。
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自動車で行かれる時は、旧国道170号線から茶吉庵の角を恩智神社に向かって曲がり東に行くと、恩智神社の鳥居をくぐります。更に行くと、恩智神社の参道の階段下で道が二股に分かれます。感應院は小さな川に沿った右の道を行きますが、この道の一部がたいへん狭く、左右の車幅感覚が必要です。あまり大きな車はお勧めできません。しかし、駐車場は広く停め易いです。
電車ですと、近鉄恩智駅から東へ徒歩20分ほどです。
感應院さんでは「仏さまを描く会」をされておられて、その講師の方が描かれた十一面観音様の絵入りの御朱印が頂けます。