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福田寺 龍神は雨乞いの神様?

 お寺の直ぐ近くを新幹線が走っていました。
 「ショファ ショファ ショファ ショファ・・・・」

 下から見上げると、防音壁の上からほんのちょっと白い屋根がのぞいていて、凄いスピードで走り過ぎていきます。

 年に何回か利用しますが、間近で見ると、その常軌を逸した速さに、「何もそこまで急がんかてよろしいがな。」と言いたくなります。

 ところで

福田寺(ふくでんじ)さんは、京都市南区の西山浄土宗のお寺です。

 京都と言っても、中小の会社や工場が住宅と混ざり合っている、特段京都らしいところのない場所です。

 龍神様は龍神堂の中央の厨子の中に祀られていました。(他にも珍しい摩耶夫人像や夜叉神がお祀りされていました。)

 龍神様は高さ60センチくらいの一木造。

 太腿や腕の筋肉が強調され、逞しいお身体です。

 ふんどし一つで両膝立ちをしている裸像で、両手をキリスト教の方がお祈りをする時のように胸の前で「がしっ」という感じで組んでいます。

 長髪で、首が短く、鼻が大きく、口をへの字に固く結んでいます。

 黒い両眼は「ギロッ」と飛びだしていて、像全体の傷んだ感じとも相まって、妖怪のような異様な雰囲気の像です。

 昭和の頃まで雨を振らせて下さる龍神様として信仰されていたそうです。日照りの時は外に出し、水をかけて祈祷がなされたそうですが・・・

 どうみても鬼です。

 龍神様などではなく 

 鬼です。

 御住職もおっしゃられていましたが、私も、兜跋毘沙門天の両脇に祀られる、尼藍婆(にらんば)か毘藍婆(びらんば)の可能性が高いと思いました。 

 眼の飛び出し方は、東寺の夜叉神像(阿形)に似てますが、あれは立像です。

 組んでいる手も、両肘から先が後から造られていて、以前は今とは違った形だったと思います。

 平安時代初期の作と言われていて、その時代、鬼が単独で造られた例はあまり無いようなのですが、やはり鬼だと思います。

 京都市の指定文化財名称も、夜叉形跪坐像(やしゃがたきざぞう)となっています。

 その特異な姿から、テレビで取り上げられることが多く、関東からも拝観に来られる方がいらっしゃるそうです。(先月も ‘’マツコの知らない世界‘’ で取り上げららたそうです。)

 福田寺は、奈良時代の創建で、もとは、たいへん大きなお寺だったようですが、昭和の頃に土地を売り、本堂を建て替えたそうで、周囲の建物と変わらない真新しい感じでした。

 元の本堂は藁葺きだったそうで、「そのままにしておいてくれたら」と、御住職が残念がっておられました。

 その本堂にも上げさせていただき、浄土宗のお寺には珍しい、釈迦如来様と地蔵菩薩様の御本尊様に、お参りをさせて頂きました。

 釈迦如来様と地蔵菩薩様はどちらも平安時代初期から中期の仏様ですが、お顔や衣のかなりの部分に後世の手が加わっていて、国からの指定が受けられないのだそうです。

 「大学の専門の先生に調べてもらったんですが、直したところがあって・・・それが無ければ国宝だと言われています。」と御住職が残念がっておられました。


 長い時間お世話頂いた御住職にお礼を言って、お暇しようとすると
   急に雨が・・・🌧

    (☉。☉)!
 

 龍神様は 正真正銘 雨乞いの神様 でした。

 (お堂を開けると雨が降るそうです。)

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JR向日(むこう)町駅から徒歩15分程です。

自動車ですと、国道171号線からほんの少し入ったところです。お寺には駐車場があります。

 以前は開帳日が地蔵盆の日と決められていたようですが、現在の御住職になられてから、お寺の法要などが無ければ、何時でも大変丁寧に対応して頂けます。お電話でご予約下さい。