企画のテーマの作り方
BtoBのマーケッターであれば、定期的に企画書を作成する機会があると思います。その際に前回や前年実施した企画とどう違いをつけ、魅力的なマーケティング施策を企画にするかで悩んでいるマーケッターの方は多いのではないでしょか。私もメディアのマーケッターという立場なので、特集企画やセミナーなどのイベントを企画することが多くクライアントや読者・会員向けに他社との違いを出していこうか毎月のように悩んでいます。ただ悩みながらも某メディアの企画を年間を通して実施することで、売り上げを増やすことができました。その経験を元に、私自身が工夫したことを紹介させていただきます。マーケッターの方の一助になれば幸いです。
ターゲットの属性を分ける
まず、ターゲットの階層を分ける必要があります。分かりやすい例でいうと、経営層(マネージャー職以上)を狙うのか、実際に作業をする現場層を狙うかを決める必要があります。私が担当しているメディアも業種でいうと製造業が多いので、具体的に製造業向けということで事例を示していこうと思います。製造業向けのDXイベントで、ERPやデータ分析ツールを製造業の会社に導入したいとします。デジタルトランスフォーメーション(以下DX)の遅れが言われて久しい製造業においても、DX化は急速に進みました。そこを経営層と現場層という切り口で見てみましょう。製造業の経営者視点では、DXで先進的な企業になりたいと考え、現場主義から脱却し、スマートファクトリーと呼ばれるようなデジタル技術をふんだんに使ったモノづくりを実現させたいと考えているはずである。そうなると「スマートファクトリーの実現」や「DXを急速に加速させる」という表現をベースにした企画になるはずです。
かたや、工場のモノづくりの現場の方に、そういった大きいテーマ設定は刺さるでしょうか。多くの現場の方にとってそれはノーです。現場の方たちがどのような働き方をしているか、日々何に課題や不満を持っているのかを想像してください。緊急事態宣言でも出社せざるをえなかったり、高齢化や人手不足で、常に工数不足に置かれている状況が想像できると思います。そういった方には、「スマートファクトリーの実現」や「DXを急速に加速させる」というテーマ設定よりも、そのソリューションやサービスを導入した際の具体的効果を示したほうが有効になります。例えば、データ分析ツールであれば、設備保全をデータをベースに管理することで、壊れてから修理や保全をするのではなく、壊れる前に積極的にメンテナンスを実施することで、予期せぬ生産ラインの停止を未然に防ぐことが可能になったといった事例や、AIによる自動画像検査ソリューションであれば、目視検査に割いていた人員を削減できたという事例や、人の目から機械の目になり、ミスがなくなったことで、不良品の返品率が30%減ったなどちいったテーマが刺さるはずです。
以上のようにBtoBマーケッターであれば、自社の商材の導入するために訴求したい層はどこなのか、イベントであればどこの層に来場して欲しいのかを明確にすることで、同じ商材を訴求するにしても全く違った企画を作ることができるのである。
ターゲットの課題を分ける
もう一つ有効な手段となるのが、ターゲット属性の課題を分けることです。前章でも述べましたが、役職で分けするのも有効な手段の一つです。経営層であれば、全体最適の視野で課題感を持っていることが多く、現場層は個別最適という見方をするといった具合にフォーカスポイントで差をつけることができます。
他に有効となる手段が、課題ごとでの整理です。例えば、従業員数や売上額と言われる企業規模や、立地、従業員の平均年齢などからもその会社が持っている課題(優先順位の違い)が透けて見えてきます。人口が少ない地方にある会社では、高齢化などによる人手不足に対して、強い危機感を持っている会社が多いのではないでしょうか。特に、職人ではないが、ベテラン社員の知識や経験に依存し、属人化してしまい、その人がいなくなったら、作業の担い手がいなかったり、質の担保が難しいという悩みは多く聞きます。そういった会社には、デジタル技術を使って、判断基準の可視化ができたり、ナレッジを溜めて共有するといったテーマ設定が有効になってくると思います。
大企業であれば、縦割り文化が強く、組織毎には、最適化されているが、組織感で上手く情報共有がなされていないという課題が多いかもしれません。そういった会社向けには、シームレスなデータ連携やフレキシブルなシステム構築が可能といった表現が刺さると思います。
中小企業をターゲットにするのであれば、費用対効果がどの程度あるのか、実際に導入に掛かった費用を1年で回収できるといいったテーマが有効かもしれない。
企業規模や、立地から課題に違いが出てくるという具体例を上げさせていただきましたが、ターゲットとなるクライアントを様々な形で分析・分類することが大切になってきます。
競合他社の企画をまねる
最後にお伝えしたいのは、競合他社の企画をまねることです。
元も子もないと思われたかたも多いと思いますが、テクニックを駆使してまねればかなり有効な手段になります。どんなテクニックか、それは既に前々章と前章でお伝えしている内容です。競合他社がやっている企画をフォーカスポイントをずらせばいいのです。お伝えした通り、ターゲットの役職で差をつけてみたり、課題感で差をつけてみれば、似たソリューションであっても違う見せ方をすることができ、さらに競合との差別化がしっかりできていることになります。そういった形で様々な企画を用意し、営業サイドと上手く協力することで、クライアントに様々な形でアプローチができるようになるはずです。上手くいった事例や上手くいかなかったことを営業サイドと共有・分析していけば更に深掘りすることができ、貴社独自の企画を用意することができるようになっているはずです。
まとめ
企画のテーマの作り方は、ターゲットの属性と課題で分類してみましょう。
そうすることで、企画に使用する表現や用意するコンテンツが全く違うものになるはずです。
また、ターゲットの属性や課題を分類できるようになれば、競合他社の同様の企画も上手く活用できるようになり、様々な企画案を提示し、アイデア豊富なマーケッターと認めてもらえるようになるはずです。
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