商談化率を上げるにはナーチャリングがキーポイント
新型コロナウイルス感染症の影響で、BtoBマーケティングの環境は激変したのではないかと思います。営業活動と共に半ば強制的にDXが進んだと思います。展示会などのフィジカルイベントは中止や延期が相次いでおり、見込み顧客(以下リード)はフィジカルでの獲得からオンラインでの獲得にシフトしているかと思います。オンラインで獲得したリードの費用対効果はいかがでしょうか。多くの会社でなかなか商談に結び付いていないのが、実情ではないでしょうか。デジタルシフトしたBtoBマーケティングでいかに商談を効率的に生み出していくのか、解決策を考察していきたいと思います。
リード有効に活用できてますか?
展示会やイベントなどで対面で話をし名刺交換したリードであれば、マーケッターのかたも営業サイドに名刺情報に興味のあるソリューションや導入の検討具合などの情報を追加して渡すことができ、その後の商談化もスムーズに進むことが多かったと思います。しかし、オンラインでただ獲得したリードでは、そういった情報を追加しにくく、営業サイドに渡しても営業がどうアプローチしたらいいか分からず、結果的にフォローしきれていないリードが大量に生み出されているのが実情ではないでしょうか。
フィジカルでのマーケティング・営業活動が大幅な制限を受けるなか、今後も見据えるとそういった状況は早急に改善していかなければならないはずです。私がマーケティングを担当しているメディアの読者・会員に、ホワイトペーパーをダウンロードした際のベンダーのアプローチに対し満足度調査を行ったところ、半数以上のベンダーが不満を持っているという結果が出ました。不満を持っている理由は、「情報収集と連絡の内容とタイミングの合致度」と「連絡手段の適切さ」がダントツで上位でした。
つまり獲得したリードに対して、一律的なメールフォローや電話などでの積極的なアプローチはほとんどのケースで逆効果になっている可能性が高いということです。各社のソリューションの検討状況に応じたストーリー性のあるナーチャリング活動が必要不可欠になっています。
購買導線のオンラインシフト
いわずもがなだと思いますが、すべての職種でこの1年の間にデジタルシフトが急速に進みました。当然、購買・調達業務もデジタルシフトが進んでいます。おおまかではありますが、導入に至るには下記の3つのフェーズを辿ると思います。
課題の認識 → 解決方法の調査 → 導入製品の選定
まず獲得したリードが上記3つのフェーズの中でどの段階かを知る必要があります。自分が導入する立場になって考えてみたら分かると思いますが、一律的なフォローではどの段階であっても中途半端なフォロー内容になってくると思います。デジタルシフトしたことで、導入する側もオンラインで様々な情報収集をしているので、そういったフォローアップでは差別化できていない状況でしょう。
但し、この状況をただ悲観するのではなく、むしろチャンスだと捉えるべきです。購買・調達活動のデジタルシフトが進んだということは、しっかりオンライン上のデータを上手く活用することができれば、よりスマートに効率的な商談を生み出すことが可能になるからです。
タイミング・コンテンツを適切に選ぶ
前章で説明してきたことですが、従来のBtoBマーケティングの環境から大きな変化が生じています。
BtoBマーケティングにおいては、多くの会社で営業サイドのほうが力が強く、忸怩たる思いをしてきたマーケッターの方も多いと思いますが、デジタルシフトによってマーケッターの方に大きなチャンスが来ています。データを上手く活用したマーケティング戦略の立案、実行ができれば今までよりも効率的に商談を生み出すことができるのです。
では、そのためにはどうすればいいのか?
自社の潜在クライアントが購買・調達活動をどのようなプロセスを経て、行っているかの把握をすることが大事になってきます。
大きくは課題の認識 → 解決方法の調査 → 導入製品の選定
のフローになってくること思いますが、より詳細に細分化することやそれぞれのフェーズで具体的にどのような状況にクライアントが置かれているかを想像することが大切です。課題の認識であれば高齢化や人材不足による生産性の向上や、製造業などであれば技術伝承などが上げられるかもしれません。そういった課題を浮き彫りにし危機感を認識してもらうコンテンツがクライアントには刺さるはずです。導入製品の選定であれば、課題認識は持ったうえで様々な製品を検討し終わった段階なので、今さら課題を認識させるようなコンテンツを見せてもほとんど効果は見込めないでしょう。実際に稟議を起案し、社内で通さなければいけない立場からすると、具体的な費用対効果を数字で提示したり、他社で導入した実績や、製品導入後の丁寧なフォロー体制などの情報が刺さるはずです。こういったように、クライアントがどのフェーズにいるかをしっかり掴み、状況に応じたコンテンツを当ててアプローチしていくのことが効果的なナーチャリング施策になります。
※コミュニケーションの方法ですが、課題の認識や情報収集の初期にあるフェーズのクライアントには、私見にはなりますが、電話でのアプローチは避けるべきだと思います。クレーム率No1のコミュニケーション手段は電話です。電話は一方的に時間を割かれてしまうので、嫌われる最たる例です。仮に1社上手くいったとしても、その背後にとても多くの会社にネガティブな印象を植え付けている可能性があることを忘れないでください。
話しが若干それましたが、ナーチャリングと言っても、そもそもクライント側の導入意欲があがってこないと何をしたらいいか分からないというケースも多いと思います。そもそも、課題をあまり感じていないクライアントや費用や工数の面で、会社として優先順位を下げざるを得ないというクライアントも多いと思います。そういった状況で有効になってくるのが、ABM(アカウント・ベースド・マーケティング)という手法です。選定基準は様々ですが、担当しているクライアントの中で大手のクライアントや、リードを獲得したもののなかなかフォローに手が回っていないクライアントをリスト化します。
そのリスト化した企業単位で、メディアなどでのインテントデータを元に、情報収集を定期的にスコア化し、導入意欲をウォッチしたり、興味・関心が高まっているキーワードを付与することで、クライアントの動きの変化を見逃すことなく、効率的にアプローチすることができるようになります。
動画コンテンツの重要性
この章では動画コンテンツの重要性について解説していきます。ナーチャリングを行う際に、有効なコンテンツになってきているのが動画です。ホワイトペーパーやプレゼン資料、メディアでのタイアップ記事なども有効ですが、DX化が進んだ現状では動画コンテンツを特にお勧めしたと思います。弊社が主催するバーチャル展示会では、カタログやホワイトペーパーなどのウェブコンテンツと同様に動画コンテンツも展示できるのですが、閲覧数の多さや、人気のあるコンテンツは動画に集中しています。課題感や課題に対する解決策の提示を、動画で10~15分程度にコンパクトにまとめることで分かりやすく伝えることができます。また、動画を見た視聴者には動画内でプレゼンに使用した資料や、デモの動画などを送付することでより段階的に理解を深めてもらうことができます。
そこまでいけば、営業サイドと連動して、お見積りの提示やキャンペーン価格の適用などクロージングのフェーズにもっていける案件も出てくるはずです。
まとめ
コロナ禍により、半ば強制的にデジタル化が進みました。特にBtoBマーケティングの環境は激変し、購買・調達のデジタルシフトが急速に進み、マーケティング・営業活動もデジタルシフトが強いられています。この状況はBtoBのマーケッターには非常に強い追い風です。しっかりクライアントの導入フロー、潜在顧客が各フェーズでどんな立場に置かれているかを整理し、その状況に合わせたアプローチをすることで従来よりも効率的に商談を生み出せるようになります。今こそ営業サイドと協力し、自社に合わせたBtoBマーケティング手法を確立し、実践すべき時です。
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