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【シンプルに考える】森川 亮
新規性 :★★★☆☆
有益性 :★★★☆☆
おすすめ度:★★★★☆
■この本で解決できること
ビジネスにおける大事なことは「シンプルにユーザーへの価値を追求すること」という森川さんの信条がわかります。また、それに紐づいて仕事に対する姿勢や、組織としてのありかたを提示しています。
■この本で伝えたいこと
●ビジネスの原則
ビジネスとは「求める人と与える人のエコシステム(生態系)」です。
つまり、ビジネスをしていくうえでは人々が求めているものを感じ取る能力と、それを具体的なカタチにする技術を磨き続けることが必要です。また、人々が求めているものが変化したときは、それをいち早く察知して新しいものを差し出すことができると生き残れるでしょう。
イノベーションを生み出すことが重要で、そのために日本でも様々な取り組みが行われてまいますが、最も必要なのは経営により管理することではなく、自由を与えることです。そして共感をベースに連携し合うエコシステムこそ、イノベーションが生まれる土壌でしょう。Googleはまさにこの土壌があり、優秀なエンジニアが自由に好きなことに仕事の時間を使えるため、イノベーションが生まれていると言えます。
スポーツに例えるなら、ポジションや打順が監督の采配で決まっている「野球型」ではなく、選手自身が流動的に試合をコントロールする「サッカー型」の経営を目指すべきでしょう。
ユーザーへの価値を追求することがビジネスにおける最も重要なことですが、ユーザーは必ずしも自分が本当に欲しいものを知っているわけではないことに留意しなくてはなりません。
ユーザーの声を鵜呑みにすることで、かえってユーザーが求めていることから遠ざかったしますこともあります。なぜなら、ユーザーは「今あるもの」に対する要望や不満を言います。それらからではイノベーティブな発想は生まれません。
では、どうすればユーザーが本当に求めるものを知れるのでしょうか。
それは、ユーザーの声を掘り下げることです。表面的な声に対して「なぜ?」を繰り返すことによって、「本当に求めているものは何か?」を自分の頭で整理し考え抜くことによってこそ、イノベーティブなものを生み出すことにつながります。
●仕事は自分でつくりだす
「受け身」でいては、イヤな仕事が集まるだけです。
とはいえ、いきなり大きな問題にとりかかろうとしたり、大きなことを始めようとするには労力ややり切るまでのマインドが続かないことが懸念されるでしょう。そこで、「まずは小さいことからでもやりたいことをやってみる」ことが重要です。
そのために勉強して結果を出していれば、いずれ必ずやりたい仕事は手に入ります。
また、現代はAIが進化し社会に浸透し始めています。
今後AIのさらなる台頭によって事務的な仕事はどんどん代替されるようになるでしょう。そうなったときに人間としての価値は「感性」になります。
自分の感性で生きることこそが、これからの「いい仕事」をする絶対条件となります。
また感性を磨くと同時に重要なのは、仮説の精度です。アイデアというのは直観から生まれ、それが良い企画やサービスの種になることは間違いありません。
しかし、アイデアだけで突っ走ってしまうことはリスクがありすぎるので、ビジネスの現場では行うべきではありません。
そこで、直観を論理的に説明できるよう、市場やその歴史などを調べ上げ、いまなぜこのサービスが必要なのかを確信がもてるまで考え抜くことが重要です。そして、この「仮説→確信」のサイクルをいかに早く回すかが、成長速度を決めます。
●組織のあり方
優秀な社員が自由に働けるようにすること
そのためには「偉い人」はいりません。「すごい人」がたくさんいる組織を目指すべきです。中央統制ではなく、現場に権限移譲をすることでユーザーの価値をスピーディーに具現化できます。
経営理念は文章にする必要ない
なぜなら、大切なのは形ではなく実質です。明文化して唱和などさせようものなら、日ごろから真剣に仕事に向き合っている社員ほど形式的な儀式をばかばかしく感じるでしょう。すると参加しない人が出てくると、それを咎める人も現れます。その結果、責め立てられることに嫌気がさし、優秀な人ほど退社していくでしょう。
ビジョンはいらない
誰にも未来のことは分かりません。わからない未来を明文化することで、それに縛られてしまうリスクもあります。その結果変化に対応するスピードが遅くなり取り残されてしまいます。なのでビジョンを掲げるよりは「目の前」のニーズに応えることだけに集中することが重要です。
覚悟を持って「過去の成功」を捨てる
守ると攻められない。「新しいもの」は多くの場合、「古いもの」を否定する側面があります。つまり「過去の成功を捨てる」ことができないと、イノベーションは生まれないのです。
仕組みでは成功できない
AIやインターネットの台頭によって、もはや「仕組み」が競争優位をもたらすものではなくなりました。なぜなら新しい価値をつくり続けなければ生き残ることができない時代だからです。ところが仕組みによって新しいものを生み出すことはできません。したがって、「仕組み化」できない部分にこそ競争力の源泉があります。マニュアル化できない属人的な部分に創造性があり、それを大事にしましょう。
■この本から得た教訓
気づき
自社は現場に権限移譲できているのか?
現場とマネージャーのレイヤーは見えているが、社長と部長などのレイヤーで権限移譲がなされているのか考えさせられた。社長のワンマンになっているのであれば、変化に対応できない組織になり未来は暗いと感じた。
明日からできること
やりたいことは何だろう?を考え抜き、まずは営業をとことん最後までやり切る。そのうえで、組織を変えるという大きな問題を細分化させて、小さいところを変えていく。