ユニクロのビジネスモデル【SPAモデル】
今回からは具体的なビジネスモデルの型をご紹介!
ビジネスの数だけビジネスモデルは存在し、それぞれに違いがあります。
一方で、ある程度のパターンで分類することも出来ます。ここでは「製品、販路、販促、価格」の”ビジネスモデルの4つの構成要素”を軸に、分類してみましょう。
ここで挙げるパターンが全てではありませんが、基本の型を知れば、ビジネスモデルの工夫の観点(商品の作り方、売り方のどちらで工夫するのかなど)をいくつか身につけることができます。またフレームワークのようなツールとして持っておくことで、ほかのビジネスモデルやその今後についてを分分析するのに役に立つ知識にもなります。
身近な企業を例として合わせて紹介するので、パターンとして押さえるだけでなく、具体的な知識にも落とし込んでいきましょう!
4/24追記
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「製品」を主軸としたビジネスモデル
まずは「製品」を軸として、それが販路・販促のどちらにより特徴があるか、そして有形か無形か(製品)/オンラインかオフラインか(販路)の3つの観点からさらに細かく分けてみます。
※オフラインは対面での販売、オンラインはネットでの販売を指します。
表の見方をご説明します!
今回紹介するのは①「SPAモデル」です。
<製品を主軸に販路に特徴があり、有形の製品で販路がオフライン>のモデルという分類になります。
次回ご紹介する②「バーティカルモデル」は、このSPAモデルと販路の要素で異なっている、ということになります。(オフラインかオンラインか)
このようなイメージで上の表を見ていただければと思います。
では早速見ていきましょう~!
「SPA」とはなんぞや
「SPA (Speciality store retailer of Private label Apparel)」とは「製造小売」という意味で、小売業における、自社で製品の企画から製造・販売までを一貫して行う形態のことです。
消費者に製品が届くまでの過程では、通常であればメーカーが製造、小売店が販売という風に担当が分かれています。
SPAのビジネスモデルはそうした分担がなく、一つの企業が商品の開発や製造から流通、販売まですべてを行っている、ということです。
このビジネスモデルには次の2つの大きな強みがあります。
①消費者の嗜好の変化や市場のトレンドをすばやく製品企画に反映することができる
②流通コストを削減できる
SPAは、製品を直営店舗で販売するため、それぞれの店舗に直に製品企画の意図や戦略を共有することができ、店舗からは企画本部へ消費者のニーズをダイレクトに伝えることができます。
この仕組みが、トレンドをすばやく反映した時間差のない製品の企画や、期中企画製品(シーズン中に追加で企画した製品)の生産を可能にします。
さらに卸売や代理の小売店を介する必要がないために、通常であればそこでかかる流通コストを削減することもできます。
このビジネスモデルはアパレル業界で採用されていることが多いですが、こうした強みが業界の抱える課題を解決してくれるからなのです。
生産から販売までの期間を短くすることで、品切れを減らし、販売機会を逃してしまうことを防止、不良在庫を減らすことができます。
またニーズを把握した”売れる商品”を迅速に開発することもできます。
さらには最新のトレンドを取り入れた製品をを早いだけでなく安価に販売し、かつ中間業者を介さないために高い利益率を維持することができます。ユニクロ、GU、ZARA、H&Mがその例です。
ユニクロの例
ユニクロは、SPAを生かして独自の製品を次々と開発し、他社との差別化を図っています。
それを可能としたのが、デザイン企画から店舗で販売するまでの様々なプロセスを細分化し、消費者の声をダイレクトに製品企画に反映する、という工夫です。
R&D(デザイナー/パタンナー)、マーチャンダイジング(製品企画)、素材開発・調達、生産工場、在庫コントロール、マーケティング、販売店舗…
と非常に多くの部署に細かく分かれているのです。
さらにオンラインストアによるEコマースで得たデータを分析し、新しい製品の開発に役立てるなどもしています。
消費者とダイレクトにコミュニケーションを取るだけでなく、それぞれの部署が常に市場のリサーチをしたり、より良い企画、生産、販売を追求したり、またそれらの部署が連携したりしているのです。
今やユニクロは世界規模の企業となっていますが、その裏にはこうしたビジネスモデルの強みやそれを生かした戦略が隠れているのです。
もっと詳しく知りたい方はユニクロ事業を展開しているファーストリテイリング社の「ユニクロのビジネスモデル」ページも見てみてくださいね!