烏の濡羽色:カラスのぬればいろ #108 辞書の生き物
カラスの濡れ羽色
女性のきれいな髪の様子をほめる際に用いられる表現で、カラスの羽のような艶(つや)のある黒色のことです。
カラスの羽は真っ黒というイメージですが、よく見ると青や紫など光沢を帯びて見えます。これは羽の表面に構造色を持っているためです。
万葉集の時代にはすでに「髪は、烏の濡れ羽色」という表現があり、当時から黒く艷やかな女性の髪の毛を形容する言葉として用いられていました。
「緑の黒髪(みどりのくろかみ)」 という慣用句も同様に使われます。
この表現は、黒く艶がある美しい髪を表現する言葉で、髪の毛の黒さを強調する表現になります。
島崎藤村が作詞した「惜別の歌」にも、以下の表現があります。
君がさやけき目のいろも
君くれないのくちびるも
君が緑の黒髪も
またいつか見んこの別れ
ここでの「緑」は髪の色そのものではなく、「新しい」、「みずみずしい」という意味を持っているとされています。生まれたばかりの新生児を「みどり子」というのと同じ使い方です。
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