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海鼠壁:ナマコかべ #39 辞書の生き物

ナマコ壁

 「ナマコ壁」は、平らな瓦(かわら)を壁に貼り付け、すき間の目地を漆喰(しっくい)で海の生き物の「ナマコ」のように盛り上げる形で埋めてつなぐスタイルからこの名前がつきました。
 防火性、保温性、保湿性に優れ、明治時代から昭和初期まで各地で見られた外壁の工法ですが、年々減少してきています。
 西伊豆の松崎町には今も190棟余りが残っており、昔ながらの趣を楽しむことができます。
 ナマコ壁に使われる漆喰は、外壁工事に使われるだけでなく漆喰で絵を描く鏝絵(こてえ)として独自の技術も発展し、芸術の域に達した作品が残されています。松崎町の漆喰職人「入江長八」は、龍や天女の作品が得意で、長八美術館では彼の作品を見ることができます。

このわた

 ちなみに、乾燥ナマコは中国では高級食材ですが、日本ではナマコは生で食べられてきました。酒飲みのおつまみとして珍重される「このわた」はナマコの腸の塩辛です。ナマコはもともと「こ」と呼ばれており、「こ」の「わた」で「このわた」となりました。「わた」は「はらわた」、つまり腸のことで、「このわた」は漢字ではそのまま「海鼠腸」と書きます。

長八作品の鏝絵



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