馬脚をあらわす:ばきゃくをあらわす #85 辞書の生き物
三代目の獣医師「ぼっけもん」が生き物に由来する言葉やことわざを紹介します。辞書には生き物の名前が付いていたり、生き物に由来する言い回しが多く残っており、日本人と生き物の強いつながりを示しています。
今日も馬にまつわることわざです。
馬脚をあらわす
馬脚をあらわすとは、隠していた本性や悪事が明らかになることを示す表現です。本性や悪事が表に出てしまうことことですので悪い意味で使われます。
なぜ馬脚が悪いイメージにつながったのでしょう。
馬が出てくる芝居では、役者が張り子の馬に入って演じることがあります。この役者のことを「馬脚」と呼びますが、この役者が演技中にうっかりと姿を現してしまうと、芝居を興ざめさせてしまいます。そのことから隠しておいたことが明るみに出ることを「馬脚を現す」と言うようになりました。
「馬脚をあらわす」の「あらわす」は、意味としては「あらわになること」ですので、露見するなどの「露」が正しい漢字で「馬脚を露す」と書くべきですが、「現」の字を使っても間違いではないようです。
類似の言い回しに「化けの皮が剥がれる」があります。こちらも「隠していた正体や物事の真相が明らかになること」を意味しています。
馬脚の場合、自分であらわしてしまうことになりますが、化けの皮の場合、他人にはがされてしまう場合にも使えます。