馬子にも衣装:まごにもいしょう #87 辞書の生き物
三代目の獣医師「ぼっけもん」が生き物に由来する言葉やことわざを紹介します。辞書には生き物の名前が付いていたり、生き物に由来する言い回しが多く残っており、日本人と生き物の強いつながりを示しています。
今日も馬にまつわることわざです。
馬子にも衣装
どんなに身分が低くみすぼらしい身なりをした人間であっても、羽織袴(はおりはかま)など立派な服装をすれば立派に見えることのたとえ。
「馬子」は、馬をひいて人や荷物を運ぶことを職業とする人のことで、馬方(うまかた)とも呼ばれていました。
当時、馬子になるのは身分の低い人が多く、身なりも汚れていてきれいな服装はしていませんでした。そういう馬子でもきれいな衣装を着ると見違えて立派に見えたことからできた言葉です。
発音から「孫」にも衣装だと思っている人がいるかもしれませんが、「馬子」ですのでご注意ください。
また、きれいな服を着た人に対して「馬子にも衣装ですね」というと失礼にあたりますので、気を付けましょう。
こういう場合はシンプルに「お似合いですね」とか「センスいいですね」などほめてみてはどうでしょう。
自分自身や家族などが「きれいだね」と言われた場合に謙遜して「馬子にも衣装ですよ」というのはOKです。言葉は使う場面や相手をうまく選ぶことが大事ですね。