辞書の生き物 #392 タヌキおやじ
タヌキおやじ
徳川家康のあだ名として知られている「タヌキおやじ」ですが、見た目は穏やかそうでも、実際は意地悪くずる賢い人を表す言葉です。
昔からタヌキは、体型がふっくらとして表情もかわいらしいイメージと違って人をだます動物と考えられてきました。
同じように人をだますと思われてきたキツネは、ほっそりとして顔の表情もかわいいというよりいじわるそうなイメージを持たれていました。
内面のずる賢さと見た目の穏やかさという二面性から「タヌキ」があてられ「タヌキおやじ」の言葉ができたようです。
NHK大河ドラマ「どうする家康」でもいくつかのエピソードとして紹介されていましたが、だましたりいちゃもんを付けたりして勢力を拡大していきました。
家康のぽっちゃりした見た目と狡猾さから付けられたあだ名が「タヌキおやじ」で、いい得て妙な気がします。
しかしタヌキがぽっちゃりした体型というのはイメージで、実際はそれほど太っていません。
信楽焼のタヌキのイメージでしょうか。
信楽焼のタヌキが作られ始めたのは江戸時代に入ってからのようで、家康より後になりますので、それ以前からぽっちゃりタヌキのイメージはあったようです。
ちなみに信楽焼のタヌキは、とっくりと通い帳を持っており、「タヌキ→他抜く→他を抜く」ということで商売繁盛の意味があるのだとか。