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蟷螂の斧:トウロウのオノ #180 辞書の生き物
蟷螂の斧
自分の力量を顧みず、強い相手に立ち向かっていく様を表す慣用句です。蟷螂はカマキリのことで、斧はその前足を指します。日本では前足のことは「鎌(カマ)」と言いますから、「蟷螂の鎌」の方が日本的な気がします。
カマキリは相手がどんなに大きくても前足を振り上げて向かっていきます。その様子からできた言葉ですが、由来は中国の書物「韓詩外伝」の記載にあります。
韓詩外伝
斉の荘公が狩りに出かけた際、その馬車の車輪に対してカマキリが前足を振り上げていたそうです。「なんという虫だ」と聞かれた家来が「カマキリです。前にしか進まず、自分の力を顧みず大きな相手にも向かっていきます」と答えたところ、荘公は「この虫が人間だったら天下を取っただろう」と言ったとされています。
勇猛果敢さを称賛する意味にも取れますが、現在では無謀さを表す表現になっています。
カマキリの卵
カマキリは泡状の卵を草の茎などに産み付けますが、雪が降っても卵が埋まってしまわない高さに産むとされ、その高さから積雪量を予想できると言われていました。
しかし、弘前大学の安藤喜一名誉教授の研究で、カマキリの卵は雪に埋もれても少々の水没にも強いことがわかり、この説が否定されました。
https://www.hirosaki-u.ac.jp/wordpress2014/wp-content/uploads/2021/09/kamakiri_book.pdf
カマキリの交尾
カマキリは交尾の際、メスがオスを食べてしまうことが多いとされており、オスにとって交尾は命がけだと思われていました。
National Geographic によると、オスが食べられてしまう割合はそれほど高くなく、13~28%だとのこと。しかしオスを食べたメスは通常の2倍の卵を産むとされています。
子孫を残すための自然界の営みはすごいものです。カマキリでなくてよかった。