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若い燕 #94 辞書の生き物
三代目の獣医師「ぼっけもん」が生き物に由来する言葉やことわざを紹介します。辞書には生き物の名前が付いていたり、生き物に由来する言い回しが多く残っており、日本人と生き物の強いつながりを示しています。
今日は鳥にまつわることわざです。
若いツバメ
若いツバメは、年上の女性の愛人となっている年下の男性のことを指す表現です。単に年下の男性と付き合っているだけではツバメとは呼びません。年下の愛人のイメージです。
明治時代の婦人運動家の平塚雷鳥(ひらつからいちょう)と、年下の青年画家であった奥村博史の恋に由来します。
雷鳥は女性参政権運動に取り組んだ市川房江とも活動したことがあり、大変人気がありました。
雷鳥は奥村のことを「若いツバメ」と呼んでいたようですが、彼女の恋が知られると、雷鳥を支援する人々の間で大騒ぎとなり、奥村は身を引くことを決断します。
その際に、奥村から雷鳥に宛てた手紙の中で「若い燕は池の平和のために飛び去っていく」と書いたことから流行語となり、女性から見て年下の愛人を「若いツバメ」いうようになりました。
「一つ年上の女房は金のわらじを履いてても探せ」ということわざがありますが、若いツバメの場合、1つや2つではなくもう少し年が離れている場合に使われるようです。
雷鳥の場合と同じく5才以上離れているイメージでしょうか。