拍車をかける #81 辞書の生き物
三代目の獣医師「ぼっけもん」が生き物に由来する言葉やことわざを紹介します。辞書には生き物の名前が付いていたり、生き物に由来する言葉や言い回しが多く残っており、日本人と生き物のつながりの強さを示しています。
今日も馬にまつわることわざです。
拍車をかける
「拍車:はくしゃ」とは、乗馬用の靴のかかとに付いている歯車のような突起が付いた金具のことです。この金具を馬の腹に当てて刺激して早く走らせる指示をするときに使います。
西部劇で、「ハイヨー」と言いながら拍車をかけて馬を走らせるシーンを観たことがあるのではないでしょうか。
「拍車をかける」は、拍車で馬を早く走らせることから、物事の進行を一段と速めることの意味で使われます。
馬具
日本では江戸時代まで武士を始め馬に乗っていましたが、拍車は使われていませんでした。昔、日本に来た宣教師たちは、拍車を使わずに馬を乗りこなしている武士たちに驚いたそうです。
日本人は拍車を使わずに馬を御する方法を身に着けていたようです。
拍車は馬を傷つけるという動物愛護の観点から、いまでは使われなくなっています。両足で馬のおなかを刺激するだけで、馬を動かすことはできますからね。
英語
拍車の英語はSpurですが、日本語と同様、加速する、刺激する、という日本語と同様の意味を持っています。
日本語と英語、どちらが先に拍車をかけたのでしょうか。日本には拍車がなかったことを考えると、英語の意味がそのまま日本に入ってきたのかもしれませんね。