烏の足跡:カラスのあしあと #106 辞書の生き物
カラスの足あと
目尻にできるシワを表す慣用句ですが、主に女性について使われます。
最近は男性もシワやシミを気にする美容男子も増えているようですので、彼らにとっては怖い言葉でしょう。
普段街中で見かけるカラスやスズメなどの足には、前向きに3本、後ろ向きに1本の指があります。
目尻のシワの形がカラスの足跡に似ていることでできた言葉ですが、カラスのものが特に似ていたということではないようです。
カラスやハトは、細い電線を足でつかんで留まっています。指の力が強いこともありますが、足の構造として体重がかかると足の指が締まる方向に力が作用するようになっています。
電線で眠るハトを見てどうして落ちないんだろうと思ったことがありますが、足の指でしっかりつかめていたためだったようです。
非まじめのすすめ
東京工業大学の名誉教授でロボット博士として知られる森正弘先生が、自身の著書「非まじめのすすめ」で、「電線で寝ている鳥は眠っていてもなぜ落ちないのか説明せよ」という問題に対する学生の回答を紹介しています。
まじめに答えた学生に交じって「落ちても飛べるから大丈夫と思っているから」という回答があったと書かれていました。こういう発想も研究には必要かもしれません。
カラスも電線から落ちませんが、目尻のカラスの足跡はできてしまうとなかなか落ちません。日ごろから表情筋のトレーニングや日焼け止め、保湿など注意が必要そうです。
ちなみに「烏」の字は「鳥」より一本画数が少ないですが、カラスは体も目も黒く、どこに目があるかわからないため、目を表す横棒が「鳥」より少ない字として成り立ったと言われています。
カラスは目がどこにあるかわかりませんが、カラスの足跡はくっきりしています。