画竜点睛:がりょうてんせい #209 辞書の生き物
画竜点睛
物事を完成させる際の仕上げで最も大事なポイント、なくてはならないことです。
これがないと「画竜点睛を欠く」という表現で不完全なものになってしまいます。
「画竜」は絵に描いた竜のことで、「がりょう」と読みます。「がりゅう」ではありませんので注意しましょう。
「点睛」の「睛」は「瞳:ひとみ」のことで、「点睛」は瞳を描き入れること意味します。
古代中国の絵の名人がお寺に奉納する竜の絵を描きましたが、目を入れると飛び去ってしまうからと、目を描き残したままにしていました。
それを信じなかった人たちが無理やり目を描かせたところ、本当に竜が飛び去ったという故事からできた言葉です。
日本でも絵や書にまつわる同様の話があります。
絵の名人が宿代の代わりにと墨で海老を描いたところ、その海老が動くと評判になりました。
宿の主人が「海老は赤い方がいい」と赤くしてもらったところ、動かなくなってしまいました。赤い海老は茹でて死んだ海老を表していたのだとか。
「弘法も筆の誤り」で知られる弘法大師ですが、お寺の山門に書を書いた際に、点を1つ忘れてしまい、筆を投げて完成させたのだとか。
名人でも失敗することがあるととらえるか、名人は失敗も見事に挽回すると解釈するかは人それぞれでしょうか。
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