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『父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい 経済の話』 〜私たち人間が作り上げた経済という怪物〜
『父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい 経済の話』を読了。
物語のように、経済が語られる。美しく、深く、壮大に。
でも、私にはとんでもなくわかりやすくはなかった。特に前半。
私の頭はカチコチで、経済がどのように生まれたかを語りだした部分で、少し混乱してしまった。読み進むには、私なりの「経済」を頭から一旦追い出す必要があった。
でも、その部分をふんばって読み進むうちに、だんだんと著者の語り口にも慣れ、後半はふむふむと思いながらページをめくった。
イギリスのシンクタンクによると、日本は「欠陥のある民主主義」のカテゴリに入っているそうだ。そして、日本に住む子供の7人に1人は貧困で、これは先進国で最悪の水準だ。
著者は言う、「誰もが経済についてしっかりと意見を言えること」が「真の民主主義の前提」であり、「専門家に経済をゆだねることは、自分にとっての大切な判断を他人に任せてしまうこと」だと。
私たちは、誰もが経済に関わって生きている。でも、経済についてしっかりとした意見なんて言われると、途端にしり込みしてしまう。そんな私たち日本人にとって、著者のこの言葉は核心をつくものだ。
私たち人間が、怪物みたいな今の経済を作り上げた。
どんなにテクノロジーが進化しても、それを変えられるのは私たち人間なのだ。
経済はいつも、われわれがどう思うかに影響され、揉まれ、形づくられる。
本書を読んでいる最中、FRBは10年半ぶりに利下げにふみ切り、トランプ氏は中国への追加関税を発表した。今、この瞬間にも経済は動き続け、変わり続けている。
混沌としたこの世界の中で、私たちひとりひとりが、何が大切かをきちんと考え、考えたことを行動で示すこと。
そんな私たちのささやかだけれど大きな力を信じさせてくれる、一冊。