『男の居場所』 〜「仕事」を免罪符にしてきた全てのものたちへの警告本〜
『男の居場所』を読了。
タイトルには「男」とあるが、これは私を含め「仕事」を免罪符にしてきた全てのものたちへの警告本だ。
仕事を言い訳に使い続けていくと、仕事以外の繋がりを失っていき、いつの間にか職場にしか自分の居場所は無くなる。
居場所は失うのは簡単だが、新しく作ることはひどく難しい。
そうなると私たちに残された選択肢は2つだ。
今ある居場所を大切にするか、今から時間をかけて新しい居場所を構築していくかだ。
今ある家庭や旧友との関係は、気心が知れているからこそ、なおざりにしがちだ。
確かに働くことは大変だ。なんで自分だけこんなに大変なんだって思う日もある。だからって自分だけワガママが許されるわけじゃない。
自分以外の人にももちろん気持ちがあるし、誰の人生だって大変だ。
自分を大切に扱って欲しければ、まず自分が相手を大切に扱うこと。
心に余裕がない時も、このシンプルだけど大切なことを忘れずにいるだけで、きっとそこは自分にとって居心地がいい居場所になるはずだ。
そしてもうひとつ、新しい居場所を作ることは、ある意味、自分をアップデートしていく作業だ。
時間がないことを言い訳に、毎日を同じように過ごしていくことは、現状維持のように見えるが、それは実は緩やかな後退でしかない。
ファッションを見るとそれがよく分かる。自分が一番イケていた時代で、ファッションが止まっている人は案外多い。進んでいく時代の中で止まることは維持ではない。
では、私たちはこれからどうしたらいいのか?
その道しるべとなるのが、本書の第5章以降だ。
実は第5章から、私は本書を俄然自分ゴトとして読んでいたため、冒頭のような感想をもったのだ。(192ページでそれが正解だったのが分かった)
漠然と思い描いていた人生の後半戦の輪郭をくっきりさせるのに、5・6・7章はとても参考になったし、私自身ひとつ新しく始めたい事も見つけられた。
いつだって人生のハイライトが「今だ」って言えるような自分でいたいなって、改めて強く思わせてくれた、人生後半の指南書として最高の一冊。
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