【書籍要約】リーダーのための!コーチングスキル
変動が激しいビジネスの世界で、従前は上司等の成功方法を部下にインストールしていくティーチングでよかったのが、少し前からこれでは立ちいかなくなり、自分や同僚・部下の能力をどう引き出していくのかという観点からのコミュニケーションが重視されるようになってきました。
今週、コミュニケーションに関する谷益美さんの著書を3冊の読みいずれも良著でしたのでこちらで紹介したいと思います。
今回紹介するのは、谷益美著「リーダーのための!コーチングスキル」になります。
以下で書籍を読んで理解した内容を紹介します。
1 コーチングとは
(1)コーチングの定義と要素
コーチングとは、会話を通じてやる気や考えを引き出し自発的な行動を促して成長を支援することになります。ここで大切なのは本人の「自発的な行動を促」すということです。言われたことができるようになるのではなく、自発的に行動できるようにする点がティーチングとの大きな差異になります。
そのため、コーチングでは「聞く」「質問する」「伝える」という3つが重要な構成要素にになります。
また本人がコーチに意見を言えるようになるためにはコーチ側も人間的な成長が求められます。同書では、コーチが気を付けるべき悪癖として、負けず嫌い、感謝の気持ちを表さない、「いや」「しかし」といった否定的な物言い等を挙げています。このようなことをしないようコーチは意識的に気を付ける必要があるでしょう。
(2)コーチングのフレームワーク
コーチングをするにあたってその実施手順を整理したものがGROWモデルになります。GROWとはGoal、Reality、Option、Willの頭文字をとったものでGROWモデルとはG→R→O→Wの順にステップを踏んでいくフレームワークになります。
①GOAL
これは理想の未来を設定するというステップになります。ゴールは具体的な状態を設定するだけでなく、なぜそうなりたいのかという目的や達成するとどんないいことがあるのかといったメリット等の背景を固めることも大切になります。
②REALITY
理想の状態に対して現状はどうであるかを明確にします。GOALが具体的であるほど要素も明確になっているので対比する現状もクリアに整理しやすくなります。
③OPTION
理想と現実のギャップをクリアにしたら次はどうすればそのギャップを埋められるのか、手段の選択肢を挙げるステップになります。「やろうと思っていることは?」「現状やっていることは?」「達成に向けてのアイディアは?」といった質問を通じて思いつく選択肢を上げ各選択肢が埋めるために有効なものかを検討します。
④Will
いよいよGROWモデル最後のステップです。これは③で挙げた選択肢のうち実際にどれをやろうと思うのか実行の意思(Will)を確認するものです。「まず、やってみたいと思ったのはどれ?」「これならやれると思ったのはどれ?」といった質問を通じて選択肢を選びます。そしてその選んだ選択肢について「いつ」「どこで」「どのように」と方法を実現可能な形に具体化していきます。
このとき注意しなければならないのが、コーチが選択肢を押し付けない、本人の意思で選ばせる、という点です。コーチ自身の知見からこれがいいと思うものがあっても決してそれを押し付けてはいけません。
なお、コーチ自身の成長の観点から、セッションが終わったら本人からFBをもらうように心がけましょう。
2 コーチングをするにあたって
(1)コーチングのマインド
コーチングをするにあたって最も重要なマインドは相手の理解者になるということです。
そのために、まず相手の話をきちんと聞くことが必要不可欠になります。これは、本人が萎縮せずのびのびと考えられるようにすることや、コーチの反応で本人の不要な反発・反応を招き自身の思考への集中を妨げる効果があります。
また、TIPSとして相手のソーシャルスタイルを知ることも重要です。こちらは下記で紹介する谷先生の「タイプが分かればうまくいく!コミュニケーションスキル」で詳述されていますが、リンク先のリクナビの記事でも概要は確認できます。
(2)コーチングのスキル
マインドが整ったら今度はスキルです。「聞く」「質問する」「伝える」それぞれのスキルを扱います。
①聞くスキル
まずは聞くスキルです。聞くスキルは、聞き出す、聞き切る、聞き分けるの3つの要素から成ります。
「聞き出す」は本人が話しやすい状況を作ることが大切です。表情や位置、アイコンタクト、うなずき・相槌、オウム返し、ペーシング等を使い、相手に合わせて反応して話しやすい環境を作ってあげましょう。
「聞き切る」は相手の話を途中で遮らないということです。頭の良い人ほど話の途中で結論が見えて遮ってしまいがちです。気を付けましょう。
「聞き分ける」は相手の話を要素に分類して分かりやすく整理することです。人に話すことをの効果としてごちゃごちゃなんとなく頭にあったものが整理されていくことが挙げられます。この整理には、様々なビジネスフレームワークが役に立つので活用するようにしましょう。
②質問するスキル
本人から引き出すためにはコーチが上手に質問をすることも欠かせません。そこでまず質問にあたっての5つのポイントを列挙します。
・質問は相手のためにする
質問の趣旨は情報収集ではない。相手の気付きを促す手段であることを意識する。
・気付きはあくまでも本人の中にある
引き出すつもりがいつの間にか誘導尋問にということがあります。気を付けましょう。
・質問の前に相槌をする
まず相手の話を受け止めたことをきちんと示します。質問はその次のステップです。
・質問はシンプルに
一度の質問でするのは一つまでにしましょう。
・質問したら待つ
質問は相手の気付きを引き出す手段です。本人が考える時間をきちんととらなければなりません。
ポイントを踏まえた上で実施に当たってのTIPSを紹介します。まずは便利フレーズ3選、「具体的に言うと」「他には?」「例えば?」。またネガティブになると本人は答えにくくなりますのでポジティブな思考を促すよう肯定的に聞くようにしましょう、例えば失敗への改善については、どうしてできなかったのか?、ではなく、できるようにするにはどうすればいい?といったように。
③伝えるスキル
最後に伝えるスキルです。
分かりやすさの基本として、タイトルやナンバリングを活用しましょう。冒頭で何の話か今どの段階か分かるようにしておくことで、相手は頭に地図を持った状態で話を聞くことができ、理解が助けられます。
また、フィードバックは事実ベースで行いましょう。コーチングで大切なのは改善です。そのために、事実ベースで原因・現状を把握することが必要になりますし、フィードバックには根拠が重要であり根拠が具体的であるほど効果的です。
加えて、本人に対して、ちゃんと見ていることを伝えるように「褒め言葉」を使いましょう。褒められ慣れていない人も多いですしおべんちゃらと思われると意味がないので、褒めるときには具体的な根拠も添えるようにしましょう。
3 マインドマップ
以上のように書籍の内容をまとめました。これらをマインドマップで1枚にしたのでこちらの添付します。
【最後に】より学びたい方へ
より深く学びたいという方は、谷先生の書籍自体をお読みなることをお薦めします。コンパクトにまとまっておりすぐ読めますし、TIPSも充実していましたのでお薦めです。
著者の下記の2冊も読みましたが面白かったです。こちらについても要約をNoteにまとめたいと思っています。