ハム太郎のキーワードからまなぶ日本経済(Vol.1「避妊」前編)
1.なんで日本では女性側の避妊が流行ってないのだ?
ある日の夕方のこと。
ロコ「ねえねえ、ハム太郎。」
ハム「くしくし。どうしたのだ?」
ロコ「なんで女性側の避妊ってはやってないんだろうね?」
ハム「ろ、ロコちゃん、いきなりどうしたのだ?
僕はハムスターだから人間さんのことはよく分からないけど、
なんかはやってないのだ?」
ロコ「そうなの…
まずはこのデータを見てほしいんだけど…」
ロコ「これを見ると、日本はゴムの使用率が世界的に高い一方で、
ピルや避妊リングなど、女性側で実施できる避妊方法の使用率が
とても少ないの。」
ハム「たしかにそうなのだ!
でも、それって何か問題があるのだ?」
ロコ「うん、私としてはふたつ問題点があると思うわ」
① ゴムの避妊失敗率
ロコ「このデータを見てほしいんだけど、
そもそもゴムって相対的にみると避妊失敗率が高いのよね。
避妊失敗率は、"その避妊法を行っている100人の女性が
1年間で妊娠する確率"を指すわ。」
※1:こちらは「一般的な使用」を指します。
ゴムであれば、
・性行為の途中から着用した
・途中でずれた、破れてしまった
ピルであれば、
・飲み忘れてしまった
などを含む数値です。
※2:こちらは「理想的な使用」を指します。
ハム「確かにほかの方法と比べると失敗率が高そうなのだ。」
ロコ「特にゴムって、本当は性交渉の最初からつけておくべきなんだけど、
雰囲気みたいなもので途中からつけちゃう人も多いみたいでね。
その場合、避妊失敗率が2%→18%に上昇する…というわけなの。」
ハム「そうなのだ。じゃあ、ゴムは使わずに、他の避妊方法を使ったほうが
よさそうなのだ。」
ロコ「でもね、ゴムは性感染症の予防にはすごく効果が高いの。
性器クラミジア感染・淋菌感染・HIV感染・AIDSには効果が高くて、
98%程度予防できるともいわれてるそう。
どちらかといえば避妊対策というより、
性感染症対策の手法として並行して使ったらいいと思うの」
ハム「なるほど、たしかにそれだったらこれからも使い続けたほうが
よさそうなのだ!」
ロコ「でしょ。次に、もうひとつ問題点を紹介するね。」
② 女性自身が自分のキャリアをコントロールできない
ロコ「それは、女性自身が自分のキャリアをコントロールできない、
ということなの」
ハム「ふむふむ、これはどういうことなのだ?」
ロコ「女性側の避妊がはやっていないいまの日本では、
"男性がゴムを着けてくれたら避妊できる”けど、
”着けてくれなかったら避妊できない"わけよね。」
ハム「たしかにそう言い換えることもできるのだ。」
ロコ「私の身の回りにも、計画していなかったのに
子供が突然できちゃって、キャリアを中断した人が何人かいるわ。」
ハム「なるほどなぁ。
でも、計画していなかった場合でも、
子供を産んで幸せになった人も多いんじゃないかな?」
ロコ「それはもちろんその通りよ。
計画していなかったけど子供を産んで幸せになった人、
産まれて幸せになった子供もたくさん知ってるわ。
ただ、今回の論点とは少しズレていて、
私が問題視してるのは"自分でキャリアをコントロールできなかった"
というその事実なの。
"いつかはママになりたいな"
"でも、まずは新卒から5年間、しっかり自分のキャリアを積みたいな"
そうキャリアをイメージしていたのに、
働きはじめて1年ぐらいで子供ができてしまったとかね。
もし、女性側が自分で避妊対策を行っていたら、もっと自分のために
使いたかった時間を計画的に確保することができる。
もちろんあらゆる避妊方法に100%はないから、
していてもできちゃうことはあるけど、
知識があれば、ある程度予防できたんじゃないかなって。」
ハム「確かに。
女性側の避妊が普及すれば、自分で妊娠や出産のタイミングを
コントロールできるし、自分のキャリアや私生活とか、自分のために
割く時間をちゃんと確保することができるのだ!」
ロコ「でしょ?
縮毛矯正や歯列矯正、二重整形、脱毛とか、
自分の体をケアしたり自信を持つために、
数万~数十万かける人も増えてきてるんだから、
避妊がはやってもおかしくないと思うの。
ねえハム太郎、こんなにメリットがあるのに、
どうして女性側の避妊ってはやってないんだろう?」
ハム「とっても不思議なのだ。ちょっと調べてみるのだ!」
実際に、避妊や中絶に対する考え方の国際比較を見てみても、
日本は各国と比べて「避妊は男性が主体的にするもの」という意識が強そうなのだ。
みんなはどうして女性側の避妊がはやっていないんだと思う?
考えられたハムちゃんずのみんなは、
以下から「中編」に飛んでほしいのだ🌻へけっ