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【スシオネ寿司を握る】 クリオネの日常

おいっこがシースーを食したいって言うので、ちょっと大きめのスーパーへ行った

正月休市なので魚はあまりなく、お寿司は予約の分のみらしい

なんてこった!父のママチャリではるばる来たというのに!

絶望感に打ちのめされた

コテンパンだ

ぶっ倒されて、上の乗っかられて、こめかみを掴まれ、しこたまリングにたたきつけられた気持ちだ

いつだってそうだ、善行とは一筋縄ではいかないものなのだ


甥っ子も、姪っ子も、寿司で腹一杯にさせてやりたい!

わたしの頭には、先日のラウンドスタイルの寿司バーに来ていた家族のパパのキレイな目がよぎる

わたしは所詮ヨゴレよね、あのパパみたいには輝けないのかな

そんなことを考え、わたしはスーパーの床に膝からくずれ落ちる

天井から天使や犬みたいなやつがゆっくりと光を纏ってわたしの上へおりてくる

「なんだか寒いんだ、ねえ、犬、なんだかとっても寒いんだ」

この子たちはわたしをどこか寿司のあるところまで連れて行ってくれるのではないか

ゆっくりと手を伸ばした


しかし、現実は異なるのです

光を失い、夏の沼のライギョのような目をしたわたしに声をかけるものなどいない

紅に染まったこの俺を慰めるやつはもういない


新年の笑顔に包まれた店内

わたしは冷たい床にうなだれる

魚は限られているが、市場が開いて十分な量の魚が流れるまでは、今ある在庫を計画的に使わざるを得ない

寿司を求める者たちは暴徒と化している

行き場のない感情を火に委ね、スーパーを占拠する

どこかから声が聞こえる

「起きて、クリオネ!あなたにはまだ希望があるわ!今すぐにねじりハチマキをまいて、あなたが握るのよ!」

ボンネットの上で血を流していたわたしはここでやっと目を覚ました

立ち上がり、周囲を見渡す

わたしのお面をかぶった者たちが固唾を飲んでわたしの復活を見守っている

十分な間をおいて、わたしは踊る、歓喜の舞を

寿司界のJokerこと、スシオネの復活である

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サーモン、シメサバ、シマアジ、ホタテを買い物カゴに入れ、やや内股気味で店内を駆け抜けレジへ向かう!

最短でお会計を済ませ、父のママチャリにまたがり、家へ向かった!


飯(いい)だ!土師器で飯を炊くのだ!炊き上がる前に鮨酢をあわせ、土器の中でシャリを切る!

うおおおおおおおおおおおおおおおおお、帆立色の波紋疾走(シェルフィッシュアイボリー・オーバードライブ)!!!!!


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これが一家に一台、超万能器用貧乏、日本最後の大和撫子、クリオネの生き様じゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!





【おしまい】

本日も【スナック・クリオネ】にお越しいただいき、ありがとうございます。 席料、乾き物、氷、水道水、全て有料でございます(うふふッ) またのご来店、お待ちしております。