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ケセラセラ♪
ケセラセラ
今日も唱える
限界?上等 やってやろうか
ここを乗り越えたら
楽になるしかない
少し前に、偶然、
ラジオから耳にした
音楽の歌詞です。
ケセラセラ。
なるようになるさ。
この言葉。
私がガンになった当時。
同じ部屋で入院していた
友人から聞きました。
彼は南米のアルゼンチン出身。
日本語もとっても上手。
そして、とにかく明るい。
笑顔がカワイイ♪
私が初めて病室に案内された日。
部屋が近づいてくると、
なにやらとっても陽気な音楽♪
そして部屋に入ってビックリ!
「ん?踊ってる?サンバ?レゲエ?
病室。。。間違えたか?」
と、間違えるほどでした(笑)
彼は近づいてくると、
笑顔で「よろしく!音楽OK?」
と聞いてきました。
私が「うん。大丈夫」と言うと、
「yeah!」と言って音量アップ(笑)
ライブハウスに来たようだ(笑)
その後、看護師長さんが飛んできて、
「○○さん!ここは病院ですよ!」
と、注意すると、彼は
「おー!今日も美しいですね〜」と、
看護師長さんと肩を抱いて写真撮影。
うーん。見事な”いなしかた”(笑)
見習わせてもらいます♪
今考えると、彼が騒いでくれたので、
私は、看護師長さんと
『運命の出会い』が
できたのかも知れないです。
彼の口癖は「日本の女性は最高!」
彼は、新しい看護士さんが
来るたびに「美しい!」と言い、
笑顔で「写真OK?」と聞いて、
一緒に写真を撮っていました。
そして、「写真を送るから、
電話番号を教えてください」と、
めっちゃ笑顔で聞いている。
うーん。。。勉強になります(笑)
そんな彼。
詳細は分かりませんが、
ガンが随分と進行しているようで、
・人工肛門
・腹部に出てしまっている臓器
などなど、見た目だけでも
それなりの状態でした。
でも、そんなことは一切、
おくびにも出さず。
常に楽しそうに過ごしている。
私は、ガンと宣告されて
落ち込んでいたので、
彼の言動が不思議でした。
なんであんなに明るいんだろう?
ツラくないのかな?
あるとき、彼に聞いてみました。
私:ツラくない?痛くない?
彼:痛いよ〜。ツラいよ〜。
ケセラセラ。大丈夫(笑顔)
私:何?ケセ?ん?
彼:ケセラセラ。ちょっと待って
(辞書を引いてくれて)
日本語。「なるようになるさ」
屈託のない笑顔。
彼は結婚をしていて、
奥さんとも面識がありました。
あるとき、彼が治療に行って
不在のとき。
奥さんが、病室のベッドで、
声を殺して泣いている
光景を見ました。
きっと、状態はあまり
良くないのでしょう。
それでも彼は、いつも笑顔。
好きな音楽を聞いて、
看護士さんをナンパして(笑)
陽気に過ごしている。
ケセラセラ。
同じ病室で、何回か聞きました。
私は、彼と同じ病室で
本当に良かったです。
彼の存在に、どれだけ救われたか。
感謝してもしきれません。
その後、私の方が先に退院。
さらに時間が経って、
お互いに治療で病院を訪れていて、
数回、会うことができました。
最期に見かけたのは、
病院の待合室。
奥さんと
号泣して抱き合っていました。
あれから10年。
彼は、今もきっと、笑顔で
元気に過ごしているでしょう。
ケセラセラ。
今日も唱える
限界?上等 やってやろうか
最後まで読んでいただき、
本当にありがとうございました。