トムとジェリー解体シンShow/ネズミ取り篇②
トムジェリシリーズの傑作「ネズミ取り必勝法」を分析という名目で勝手に語っておりました。でも一応ネズミ公とチーズの関係について勉強できたから満足しています。
さてさて踏んだり蹴ったりのトムですが、このあとシリーズ随一の名(迷)シーンがやってきます!
それは、ガイド本”第4章 好奇心の強いネズミは捕まえやすい”を読んだトムが実行する作戦です。
それは、ジェリー宅の前で面白い本を大笑いしながら読むフリをする作戦なのですが...
ここのトム、一番輝いています。もうオスカー短編アニメ賞だけではなく主演男優賞ももらっていいんじゃないかという笑いぶりです。(ちなみに同年度受賞者は「ホワイト・クリスマス」で有名なビング・クロスビーでした)
...はい、ちょっと大げさでしたね。でも本当に面白いシーンです。このトムの笑いぶりがおかしくてたまりません。まさに”抱腹絶倒”という四字熟語をアニメ化したシーンです。
外国人に「”ホーフクゼットー”ってどういうコト?」と聞かれた時は、このシーンを見せてあげましょう。一発で理解してくれるはずですよ!
ッヒッハッハッハッハォゥ...オオォッハッハッハッハァ
...申し訳ありません。文字ではこのシーンの素晴らしさを伝えられません。
この作品を見たことがない方はもちろんですが、かつて見たという方も是非また見てみてください。人(猫)が笑う姿が笑えるなんてこと、そう多くはないはずですから...。
そして派手に笑うもんですから、ジェリーが寄ってきます。
ッバーン!!
と本で挟みましたが、ジェリーまさかの無傷。
それどころか、全く同じだまし討ち戦法で目をグーパンされます。いやこれは痛い...。
このジェリーの戦法、どの作品かは忘れたのですが他のトムジェリ作品でも全く同じように使っていた記憶があります。どの作品だったかなぁ...思い出せずモヤモヤ。
記憶の底に潜んでいる作品は置いておき、逃げるジェリーをトムは追いかけます。そしてとうとう部屋の隅に追い込みます。
そしてなぜか本を開きます。
いやいやいや、なんでそこでわざわざ開くんだよ笑笑
”第5章 追い詰められたネズミは抵抗しない”
そこは見なくていいだろ笑笑
それにしても”窮鼠猫を噛む”ということわざに、全面的に喧嘩を売った説です。
でもこのことわざは英語圏でも十分通用するみたいですよ。だから、ギャグでしょうね。一種のフラグでもあるでしょうか。
案の定、返り討ちにあいました...。本を読んでいなかったらこうはならなかったかもしれませんね。
この時、トムがしゃべります。”Don't you believe it.”と言っております。吹替とかでは「ウソだぁ」と。
前回このシリーズは基本的に台詞がないと紹介しましたが、たまにこうやってトムとジェリーが台詞を発することがあります。準レギュラーにあたるキャラやゲストキャラはもっと喋ることが多いです。そう考えると、意外と台詞多いかも。
そして気になるのは声の主。いったいこのシーンの声は誰が当てているのでしょうか...。
ミッキーマウスなんかは生みの親であるウォルト・ディズニーが担当していることで有名ですが、上記のトムの台詞はいかに。どうやらここの声は、実際に放送されていたラジオ番組のジングルを流用しているんだとか!
声優じゃないんか〜い。
次は”第7章 科学的にアプローチする”...?
このシーンってどういう意図があるんですかね。
トムが”科学的”というワードを履き違える、というギャグなのか。
いずれにしても聴診器を装備したのが運の尽き。
ジェリーが聴診器の当てるところ(”チェストピース”っていうんだね!)で奇声を発したことにより、トムの頭が一時的にすっ飛びます。
このジェリーの奇声がまた最高なのです。あ行を全部足したような凄まじい声なのですよ。ここで文字に表すのが不可能と判断いたしましたので、ぜひご自身でお聴きください。
トムはご乱心。とうとう武力介入に移行します。
どこからか猟銃を持ってくるわけですが、このトムジェリの世界線ではほとんどのものが軟質でできています。なので...
こうなるわけです。
トムはそのまま引き金を引いてしまいます。幸いにも直撃は避けられましたが、頭髪(?)がすっ飛びました。いや、これ明らかに当たってるだろ。直撃だろこれ?
武力介入その2
トラバサミをジェリー宅の中に差し入れます。
...ちょっと待て!これよくよく考えたら使い方違うだろ!
トラバサミって本来どちらかというと待ち伏せで使うトラップだと思うのです。それを、わざわざ敵の拠点にぶちこむ!バカですねぇ〜。※褒めています
ハサミの大きさに関してはもうスルーでいきます。
それよりも、トムの頭に注目ですよ。
このシーンでは先ほどの銃撃で頭髪が消えたのでウィッグをつけております。
特にトムの話ですが、トムジェリはいつもシーンが変わるたびにキャラの損傷がリセットされますよね。
真っ二つになっても、ペチャンコになっても、机や花瓶にトランスフォームしても次のシーンでは何事もなかったかのように元の姿でバトルを続けています。
...なんで頭髪はリセットされねえんだよ!!
いつもどんなにめちゃくちゃになってもすぐ復活してるだろ!?
なぜ毛の損傷は引き継がれるんだ!?
しかもよりによって、ウィッグ!
猫のくせにウィッグ!!色のセンスもなんとも言えねえじゃねえか!!
長年疑問に思っていた私の本音。
ですが今回の分析で、このウィッグについてあることが判明しました。それは後ほど。
武力介入その3
木づちでめった打ち。ですが当然すばしっこいジェリーに当たるはずもなく
いやぁ、この顔ですよ顔。
トムの伸びた顔も最高ですが、このジェリーの顔!もう最高すぎる。
ちゃっかりカメラ目線です。悪いやつだなぁ〜このチビは。
この辺でひと段落にしようと思ったのですが、この短いトムジェリを三部作にするのも億劫なので続けます。最後までお付き合いください。
”第9章 偽のプレゼントを贈る”
まぁ、おびき寄せ作戦ですね。
トムが自らプレゼント用の箱に入り、ジェリー宅の前でスタンバイ。
不審に思ったジェリーは何やらまち針を持ってきてプレゼントに刺しまくります。トドメはケーキ包丁(らしき刃物)でギコギコ...。そして中を覗く...。
お前さぁ、そんな顔してるけど絶対わかってやっただろ?
針刺すとき、ヤツの悲鳴聞こえてたもんな?ッオオゥッ!!って。少なくとも観客には聞こえてまいすよ。
トムの悲鳴コレクションCDあったら買う。嘘、買わない。
一命を取り留めたトムが次に目を通すページは
”第12章 ネズミは女性に弱い”
...もうなんか、ついにこの本もふざけてきました。そんなわけねえだろって...思うじゃん?
しかしこの通り。トムは最後までガイド本を信じました。
雌ネズミのしゃべるゼンマイ人形でジェリーをおびき寄せます。でもジェリーがちゃんと反応するところを見ると、あながちこの本も嘘ついてないのか。
このハリボテのホテルの奥でトムは口を開けてジェリーを待ち構えます。
しかしジェリー、ネズミのくせにレディファーストを心得ているではありませんか!なのでトム公の口に入るのは人形の方でした...。
人形を胃袋に入れたまま、トム二度目のご乱心。もうこの本に頼ることはありませんでした。
けっこう厚い本をいとも簡単に引き裂くトム。エクスペンダブルズのメンバーでもこんな容易にはできないだろう。
いつもの方法でジェリーに最後の攻撃を仕掛けます。
すごい量だなおい。総額いくらくらいなんだろう...。
ここでトムジェリにおける、ある簡単な法則を紹介します。
”トム × 火薬 =負け” です。
トムが火薬に手を出すと(彼にとって)ろくなことがありません。この回では導火線に不備がありましたが...。
この作品に限らず、多くの他の短編でそれが証明されていると思います。
もしかすると例外があるかも...。探してみます。
とりあえず、もうこの時点でトムの負けは決定です!
ドゥオォォォォォォォォォン(爆発)
いやいやそうはならんだろ。
奇跡的に爆発から逃れたジェリーが目にしたのは...
天に召されるトムなのでした。
このちょっとブラックな結末も「ネズミ取り必勝法」の魅力ではないでしょうか。
というわけで、大好きなトムジェリ作品でした!
...と締めくくる前に、1つ今回の分析でわかったことがありました。
そう、先ほど申し上げたあの”ウィッグ”です。
いつもは損傷がリセットされてドタバタを繰り広げるトムですが、今回はなぜか頭髪だけリセットされず後半はずっとウィッグが欠かせない状態でした。
しかしラストシーンを見るとこのウィッグにある役割があることがわかります。
2つ前の画像を見てみると、ジェリーのもとにあのウィッグがひらひらと舞い落ちてきていますね。ここで彼はウィッグが落ちてきた先を見上げるのです。すると、トムが旅立つ様子が彼の目に入ります。
この一連の流れで、我々観客にもトムが爆死したことが伝わります。
逆にここでウィッグが落ちてこないとどうなるか。ジェリーはトムが天国へ旅立っていることに気づかないまま、物語が終わるのではないでしょうか。
周りを見渡して、「何が起きたんだ...?まあいっか!」チャンチャン→THE ENDとなってしまうでしょう。これでは観客にもトムの最期が具体的に伝わりません。まぁ、死んでるだろうけどな...。
つまりウィッグには
・ジェリー(と観客)に”トムが天国へ行ってしまった”ことを知らせる役割
があったのですね。
よく見てみると、トムが飲み込んでしまったあの雌ネズミ人形の音声がその役割を担っているとも捉えられますが(正直かなり微妙なところではある)、視覚的な担当としてこのウィッグが必要とされていたのではないでしょうか。
そうか、このラストシーンのためにトムの頭髪はリセットを頑なに拒んでいたのか...!
最後の画像を見てみると、依然トムの頭がそのままなのも笑いを誘う要素になっていますよ。
なるほど...そう考えると、よく練って製作されているんだなぁ...。
これは目からウロコだ!
たかがドタバタのまんが映画と思うなかれ。
日本よ、世界よ、これがトムとジェリーだ!!
終わります。
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