『こちらあみ子』(著者:今村夏子)は渋谷教育学園渋谷中、カリタス女子中で出題されました!中学受験国語の入試問題の内容を紹介します!
■『こちらあみ子』(著者:今村夏子)について
この本は、
こちらあみ子
ピクニック
チズさん
の3編からなる短編集です。
「こちらあみ子」は文庫で113ページ分になります。
「こちらあみ子」は第26回太宰治賞、第24回三島由紀夫賞を受賞した作品です。
この作品は、読む人によって色々な感じ方があると思いますが、かなり衝撃的な作品です。いきなり読んで数ページで、あみ子に前歯が3本ないことがわかり、さらにその理由があみ子が小さい頃から大好きだったのり君という男の子に中学のときにパンチされたからだというのです。
読んでいくと、どうしてパンチされてしまったのか....わからなくもないです。
あみ子はのり君が大好きだっただけなんですけど...
あみ子の純粋ゆえの破壊力がすごくて、それをあみ子の視点で綴っているため、決して暗くないのですが、だんだんわかってくると、切なくて、やるせなくて、やりきれなくて、私は半端なく辛くなりました。
作風も内容も全然違いますが、ダニエル・キイスの『アルジャーノンに花束を』を彷彿させます。
「ピクニック」もちょっとおかしな話で、七瀬さんという女性にお笑いタレントの彼氏がいるということで、職場の人たちがこの2人の関係をおもしろがっていたり、見守っていたり....なんとなく切ないお話です。
「チズさん」は、まっすぐ歩くのも大変で、おしゃべりもできない88歳になるおばあさんのチズさんのお話です。
3編とも独特の世界観があるので、小学生には難しいです。大人でも好き嫌いが分かれるところではないでしょうか。
渋谷教育学園渋谷中学校では出題されてしまいましたが、まだ最初の方のあみ子がのり君を好きになってしまい、初めてのり君と一緒に学校から帰って話をするシーンです。あみ子がなんかおかしな子なんだなというのはわかると思いますが、普通でない話の展開に戸惑ってしまいそうです。
カリタス女子中学校で出題された部分では、義理の母のお腹の赤ちゃんが死産になり、義理の母がこの小説の中で一番優しかった場面です。ここだけ読むと、あまり違和感は感じないかもしれません。
中学受験では、2016年度第1回渋谷教育学園渋谷中学校と2016年度第2回カリタス女子中学校の国語の入試問題で出題されました。
◆2016年度第1回渋谷教育学園渋谷中学校の国語の入試問題
大問1番で、文庫で約9ページ分が出題されました。あみ子が初めてのり君と出会い、のり君としゃべった場面です。大問2番は論説文で、大問2番まででした。
この大問1番の設問形式は、漢字が1問、5択の記号選択問題が4問、60字と40字の記述問題が2問で全部で7問の出題でした。
◆2016年度第2回カリタス女子中学校の国語の入試問題
大問2番で、文庫で約9ページ分が出題されました。あみ子の義理の母(父が再婚した)のお腹には赤ちゃんがいて、いよいよ産まれるという日、赤ちゃんはお家に戻ってくることがなかったという場面です。大問1番は、説明文で、大問2番まででした。
この大問2番の設問形式は、漢字が1問、抜き出しが1問、段落分けの問題が1問、5択の記号選択問題が2問、40字の記述問題が1問、自由記述問題が3問で全部で9問の出題でした。