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『ジャパン・トリップ』(著者:岩城けい)は富士見中で出題されました!中学受験国語の入試問題の内容を紹介します!
■『ジャパン・トリップ』(著者:岩城けい)について
この本は、在郷20年以上の著者が、
オーストラリアの小学校の生徒たちによる、日本の姉妹校への修学旅行「ジャパン・トリップ」を描いたお話です。
ローランド・ベイ・グラマー・スクールというオーストラリアの小学校から5・6年生対象で、日本の姉妹校へ訪問する1週間のジャパン・トリップの説明会から始まります。3泊は日本の家庭へホームステイ。ショーンは母親が日本人ですが、日本の京都へ帰ってしまったということしか知らず、おばあちゃんのナンに育てられました。そして、大阪の和菓子屋で、ショーンより3つ年下の双子の兄弟がいる家庭にホームステイすることになります。たった3日間でも別れるときはさみしくて、ショーンが語る日本の家の不思議は、外国人ってこんなふうに感じるのかと興味深いです。
ハイリーは去年日本人のユイカにホームステイしてもらったことから、今度は、ユイカの家にホームステイすることになります。ところが、ハイリーは全然楽しくありません。ハイリーは日本語を勉強していて、日本語を使いたいのに、ユイカの英語でのおしゃべりの相手役にされているだけで、全然日本語を使わせてもらえないからです。この視点も驚かされます。
外国の人も日本語を話したいと思って日本に来てくれているんですね。
日本人は、なんでも英語で受け答えしてあげなければと思いがちですが、英語がたとえ話せなくても、日本語ででも、コミュニケーションしようという気持ちを大切にしないといけないんだなとわからせてくれるお話です。
ショーンの家庭の事情、ハイリーの友だち関係など、オーストラリアから日本に旅行しただけではないさまざまなできごとが起こります。
日本側から書かれていない点でとても新鮮な作品ですが、それだけでなく、受け入れる日本人家庭の母親、支える先生などの視点も混ざっていて、読みがいがあります。
岩城けいさんは、第32回坪田譲治文学賞受賞した『Masato』で、オーストラリアに転勤した日本人の男の子がオーストラリアの小学校で自分の居場所を確立していく物語も書かれています。
こちらの作品も向こうの小学校が垣間見れて楽しい作品でしたが、この『Masato』と今回の『ジャパン・トリップ』、どちらも表現技法が変わっていて、会話文が「」で切れ目がなく、普通の文章で続いていく形がたくさんあります。その部分がだれのセリフだかわからなくなってしまうと、小学生にはちょっと難しい作品となってしまうでしょう。
ショーンがホームステイしたお家の双子の男の子は9歳ですし、読みやすい部分もあります。小学生は受験でも出題された「My オカーチャン」の章だけ読んでみてもいいかもしれません。楽しいです。
外国の人が日本のどんなところがいいと思って、どんなところがイヤだと思うのかがわかり、とても興味深いお話です。
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中学受験では、2018年度第1回富士見中学校の国語の入試問題で出題されました。
◆2018年度第1回富士見中学校の国語の入試問題
大問2番で、「My オカーチャン」の章から単行本で約7ページ分が出題されました。ショーンは自分より3つ年下の9歳の双子の男の子がいる家庭に3日間ホームステイする場面です。
大問1番は、説明文で大問2番まででした。
この大問2番の設問形式は、漢字の読み・書きが1問、適語補充が2問、表現技法の問題が1問、4択の記号選択問題が4問、抜き出しが2問、字数制限付き記述問題が3問で全部で13問でした。