『生きるぼくら』(著者:原田マハ)は聖光学院中、富士見中、恵泉女学園中で出題されました!中学受験国語の入試問題の内容を紹介!
■『生きるぼくら』(著者:原田マハ)について
この本は、家に引きこもりだった24歳の麻生人生が、母親に出て行かれ、蓼科の祖母のところに行き、祖母の稲作を手伝いながら、引きこもりの人生から抜け出していくというお話です。
こう言ってしまうと、なんだそれだけ?と思われるかもしれませんが、とても内容の濃いお話です。
序盤は、引きこもり、いじめ、後半は、稲作、認知症の介護、就活といった現在の日本社会のたくさんの問題が1つの作品で扱われています。前半のいじめのシーンは、読むに耐えない部分もありますが、それほど長くありません。また、認知症の介護というと暗くなりがちですが、蓼科のコミュニティの中で、人々の温かい交流を通して描かれていて、大切なものは何であるかを教えてくれます。お米1粒に7人の神様がいるお話など、現代人が忘れている大事なエッセンスがたくさん盛り込まれていて、とても読みがいのある作品であり、多くの若い人たちに読んでもらいたい作品です。
『生きるぼくら』とは、作品中で説明があり、稲が育っていく過程で稲とともに、草や虫、そして自分たち、みんな一緒に「生きるぼくら」なんだと実感することができる、自然と人間とともに生きていくんだというメッセージが込められていて、環境問題などを扱う論説文にもよく出てくる主張です。なので、今後も出題されそうな作品です。
ですが、小学生にはボリューム感もあり、取り扱われている問題も難しいため、全部通して読むのはなかなか厳しいでしょう。
親子で一緒に読んでみてもいいかもしれません。
2016年度1回富士見中学校、2017年度第1回聖光学院中学校、2021年度第1回恵泉女学園中学校の国語の入試問題で出題されました。
◆2016年度第1回富士見中学校の国語の入試問題
大問2番で、「第5章 ひと粒の籾」から文庫で8ページと少し出題されました。米作りに携わってきたおばあちゃんから、人生とつぼみが「稲作とお米の一生」の話を聞く場面です。
大問1番は、説明文で、大問2番まででした。
この大問2番の設問形式は、漢字が1問、文学史の問題が2問、抜き出しが2問、語句の意味が1問、4択の記号選択問題が3問、字数制限つき記述問題が3問で、全部で12問でした。
◆2017年度第1回聖光学院中学校の国語の入試問題
大問3番で「第5章 ひと粒の籾」から文庫で約9ページ分が出題されました。前述の富士見中の出題箇所の少し後の部分で、「認知症で記憶がなくなっているおばあちゃんは今年は米作りをやめようと思うと話をすると、人生とつぼみがおばあちゃんの米作りを手伝わせてほしいとおばあちゃんにお願いする」場面でした。
大問1番は漢字の書き取り、大問2番は語句、大問4番は論説文で大問4番までの出題でした。
大問3番の出題形式は、語句の問題が1問、5択の記号選択問題が6問、80字の記述問題が1問で全部で8問でした。
◆2021年度第1回恵泉女学園中学校の国語の入試問題
大問1番で「第4章 さよならケータイ」から文庫で約6ページ分が出題されました。最初に人物関係図が示されていて、それから本文に入っています。ばあちゃんと人生とつぼみの3人で、東山魁夷が描いたという風景が見られるところに行くシーンです。この小説の中でもとても素敵なシーンが出題されました。
大問2番は説明的文章、大問3番は漢字の書き取りで大問3番まで、制限時間が45分の問題でした。
この大問1番の設問形式は、人物を問う問題が1問、語句の補充が2問、自由記述問題が3問、内容の読み取りを問う問題が1問で全部で7問の出題でした。