寝物語の影





きみがねむりたくないよるがあったなら

まどを3かいノックしてみてごらん。


そうしたら、すこしだけでいいから

まどをあけてくれないか。


ぼくのからだは、ひらべったいからね。

そして、どんなかたちにもなれるんだ。


へやにはいったら、おはなしをするよ。

きみはどんなおはなしがすきだい。


ぼくはね、せかいをたくさんみてきたんだ。

だからなんでもはなせるよ。


あのいばったおうさまのしっぱいだんも

ろじうらのおじいさんの

わかいころのぼうけんたんも。


あぁ、のらねこのたびのはなしもいいだろう。

ふふふ、きになるでしょう。


じゃあね、まずキミはベッドにはいって。

そうそう、くびもとまで

もうふをかけるのがきもちがいいよ。


よし、じゅんびはいいね。

はじめようか。


「ぼくは、かげ。

たくさんのひとたちのかげをえんじてきたんだ。

これは、そのえんじただれかのものがたり…」


………


「…そうして、ふたりはすえながく

しあわせにくらしたんだ。

おやおや。

…ふふ、いいかおでねているね」


ぼくは、まんぞくしてたちあがる。

カラリとまどをあけてそとにでる。


「それじゃあ、よいゆめを」


そういって、つきのひかりにてらされできた

かげをわたりあるいていく。


さぁ、つぎは

どこのねむれないこがよんでくれるかな。


おはなしは、まだまだたくさん。

かたりつくせないほどにあるからね。


            「寝物語の影」

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