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雨あがり、朝

昨夜はずっと雨が降っていました。いつ降りやんだのか分かりませんが、翌朝にはすっかり晴れていて、風は水の匂いがしました。雨あがりの風は心地よいです。触ればスライムみたいに、ぷるんぷるんしてるんじゃないか、と思うほど。さて、土が柔らかいうちに庭の草を抜いとくか、としゃがみ込みながら作業していると、土と草の匂いが香ります。「子どもの頃は毎日この匂いの中で遊んでいたなあ」、ということを思い出しました。友達は少なかったはずなのに、いい思い出だけは残っているものです。

わたしは花を植えたり、木を育てたりするのは不得意ですが、庭掃除だけは得意です。得意と自負するほどには好きな作業です。その辺を通りすぎる人々よりもきっと多く雑草と戯れていると思います。彼らは本当におろしろいです。花びらの形や色、敵(わたしみたいな)からいかにして種を守り抜くかと考えられた戦略、雑草たちの好みの環境など……。さて、くる年もくる年も雑草を引っこ抜いていると、わたしはとても大きな事実に気がつきました。同じ庭なのに、年によって蔓延る雑草の種類が違うのです。

種が風にのってやってくるのか、はたまた土の下では人の想像の及ばぬ世界が広がっているのかは分かりませんが、とにかく庭の世界は不思議なものです。去年、猛威を奮っていたアイツは今年あんまり見かけないな、とか、おっ、新人きたな、とか。毎年、色んな発見があります。

今年になって感じたのは、植物たちってそれぞれコミュニケーションを図ってるのかな、ということでした。ひたすら無心で草という草を抜いていると、植物たちの見事なコンビネーションを目の当たりにすることがあって、「お前たち……やるやないか」と内心唸ってしまうことがあります。

可哀想だな、と思うのは、本来日向が好きな植物たちが日陰に生えているときです。植物たちの呻き声が聞こえるようです。「うっ……ぐるしいよ……」みたいな。それに、風通しが悪い木々も苦しそうな声が聞こえる気がします。植物といえど、命のとり扱いは、人間と同じように気をつかうべきなんだろうな。色んな顔を見せてくれる植物たちを見ていて、そう思った次第なのでした。


私の行動のなかに、あなたの姿を現わすように努力しよう。私の行動に力を与えてくれるのがあなたの力であることを知っているのだから。

タゴール詩集

今日読んだ詩でした。


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