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貧困と肥満、ボディポジティブVS自律

 現代は、美味しいものを好きなだけ食べられる素晴らしい時代です。しかし、食べて“しまえる”時代でもあります。
 人間は糖分・脂肪分・塩分が多いほど“美味しい”と感じてしまう性質を持っており、その性質をハックした食品メーカーが作り出してきた加工食品が世界で爆発的に肥満を増加させた原因でもあります。
 美味しいものを好きなだけ食べるということは人類が追い求めてきた夢でもあるのでしょう。しかし、いざその夢を実現させてしまうと、現代人は必然的に太ってしまいます。

 そんな現代社会において、現れるべくして現れた思想が「ボディポジティブ」です。
 自分の体をありのままに愛そう、というボディポジティブ思想の拡がりは、世界各国で上昇する肥満率と無関係ではないでしょう。

 病的な痩身のファッションモデルに対するカウンターとして出現した“プラスサイズモデル”のように、あくまで健康的な範囲での“太り”を肯定的に受け止めるのであれば良いのですが、“ありのままの体を愛する”というのも限度があります。
 好きなだけファストフードやスナックを食べて出来上がるのは、認めるわけにはいかない不健康な肥満体なのですから。そういった理由で私は、ボディポジティブには懐疑的な立場をとっています。


 しかし、世界に蔓延する“肥満”の問題は単純に片付けられません。
“カロリーは安い”のです。
 良質なタンパク質や新鮮な野菜と比べて、糖質・脂質は安い値段で買うことが出来ます。なので貧困層ほど不健康に太ってしまうのです。
 肥満は貧困の問題であると、言い切ってしまってもあながち間違いではないでしょう。

 問題は外食産業にもあります。
 飲食店は集客のために味付けを濃くする傾向があります。味付けを薄く、健康的な料理を提供する良心的なお店は残念ながら長続きしません。美味しい(と感じてしまう)料理を出す店に客をとられてしまうのですから。


 こんな社会で、私たちは未来のために何ができるのでしょうか?

 貧困・社会の構造的な問題は、私が頭をいくらひねっても、解決の糸口は見つかりそうにありません。

 そんな私が行っている、「未来のためにできること」は「自律」です。

 食欲のまま、欲望のままに行動することを辞め、理性でもって良いことを判断し、現状を肯定するだけでなくより良い未来のために己を律すること。これが私の精一杯の「未来のためにできること」なのです。

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