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卒園式の歌は、ユーミンの「春よ、来い」だった。 模造紙に書かれた、ひらがなの歌詞を目で追いながら歌う。 意味なんてわからず、朝と帰りに毎日歌う。 「あわき ひかりたつ にわかあめ」 「淡き光立つ煮わかめ」 沸騰した湯の中、 ワカメが茹でられ、茹でられすぎて、ぶよぶよになって、湯気の中、鍋の水面が光の反射でキラキラと輝いている。 そんな映像を思い浮かべながら歌っていた。 彼女は、祖母のつくるワカメの味噌汁を見ると、たまに歌を思い出す。