「チ。-地球の運動について。」が面白い…。1~11話まで見た感想。くすぶってあがいているキャラクターが何かを掴もうとする姿にどうしても惹かれてしまう…。
こんにちは!
今日は「チ。-地球の運動について。」のアニメ感想です。
今11話まで見ているのですが、もう毎回毎回心かき乱されておりまして…。
時代をまたいで、地動説提唱までどんどん繋がれていくお話なんだなと思っていたのですが、
今、オクジー、バデーニ、ヨレンタの物語に入って、どうも地動説と天動説だけの話ではないぞ、と…。
今回は11話までに登場しているキャラクターについての感想を書こうかなと思います。
■キャラクターのこと
ラファウ
孤児だったが、神父に養子に迎えられ、不自由のない生活をしていたラファウ。
地動説を研究すること自体が異端で、日常で火あぶりにされている異教徒を馬鹿なことしたせいだ、と冷めた目で見ていましたが
フベルトに出会うことで、くすぶっていた気持ちに火がついて、地動説の探究にのめりこんでいく。
実は養父のポトツキも若いころに地動説に触れていた過去があり、異端審問を恐れたポトツキに密告されて、最期は自ら、自死を選ぶ。
3話でまさかの退場に驚きました…。
人が死ぬ漫画作品は多いですが、果たしてその死に本当に意味があるのかと思うこともあります。
ラファウに関しては、
人が死んだとしても後に感動を残せるということに、死ぬ意味を見出してしまっていました。
「死んだら天国に行ける」なんていうのは人間が考え出したことですからね…。
死んだら何も残らない。無であるなんて恐怖でしかないという人は現代でもいると思います。
死後のことなんて実際のところはわかりませんが、後世に何かを残したい、という気持ちは共感します。
死んだら体はなくなって「無」しかないと言われたときに返したラファウのセリフ。
感動って目に見えないものだけど、昔の人が感じた感動は何千年も超えて書物として残っている。
それをどう感じるかは受け取る人間次第。
オクジー
仕事が代闘士で、何人も人を殺していため、地獄に行くことを恐れている。救済される天国が存在すると信じ、救いのないこの世は汚れていると思っている。
星が目玉に見え、夜空を見上げることが出来ない。
無数の目玉。これは一体何なんだと思いましたが
オクジーは代闘士で、人を殺すたびに、自分を恨んで死んでいく人の目を見ていました。
常に自分が地獄に落ちるんじゃないかと恐れていました。
目玉は神の視点、または今まで自分が殺してきた人間の視線なのかなと思いました。
文字が読めないオクジーはラファウの残した石箱のことも天文学のこともついていけませんでした。
ただ自分が天国に行きたいためだけに、バデーニにの命令に従い、物乞いに施しをしたりしていましたが
バデーニたちと行動してから、心を動かされ読み書きに興味を持ち、文字を学び、本を書くに至ります。
トラウマだった夜空も美しいと思えるようになります。
何かを書き残したいという衝動は誰にも止められない。
オクジーもラファウたちが追いかけた地動説に心を動かされた一人だったということ…。
ラファウの言っていた通り、この好奇心は病のように人々に広がっている。
フベルト、ラファウから生まれたお話がどんどん広がっていく。この展開がとても美しいと感じます。
バデーニ
強欲な知識欲で、異教徒の論文も網羅している。そのため懲罰を受けたり目をつぶされても学問をやめない。
石箱がなんなのか解明するためには読める人間、知識を持つ人間が必要ということで、オクジーが訪ねた人物。
修道士ですが、だいぶクセがあって、異端とされている考えや書物も進んで関わろうとして厳しい懲罰を受けるが、考えを改める気が無く、とても横柄。
すごくとがったキャラクターです。
ラファウも少しひと癖あるキャラクターでしたが、進んで懲罰を受けるようなことはしませんでした。
バデーニも異端審問に引っかからないように注意を払って、必要とあらばヨレンタに罪をなすりつけようと言っていたり、命をかけて地動説を提唱する気はない、といった態度でしたが…
実はすごく人間味のあるキャラで、星の計算が合っていたり、新しい知識を得た時は吐いてしまう癖があったり
「ヨシ!ヨシ!」と壁を殴り続けてるのは、シリアス通り越してコミカルでした…(笑)
チ。ってたまにこういうコミカルなところがあるのが面白いんですよね…(笑)
オクジーを馬鹿にしているように見えますが、本人は至って理論的、合理的に正論を話しているだけで、馬鹿にしようとしてるわけではないんですよね。
それも真理を追求するが故。(周りに敵しかいなさそう…)
嫌味なのに魅力ある人物になっています。
個人的に一番好きなキャラです。
これ聞いたとき、つい溜息が出てしまいました。
ゴミのような情報=まさにSNSのことだなあと…(言葉が乱暴ですいません)
昔は文字の読み書きができない人が多かったから、つぶやきが残っていないおかげで、書物が整理されて残っているけれど
現代は誰でも文字を書けるし、映像も発信できる。
それがもしウソ、フェイク、悪意のあるものだとしたら、100年後200年後の人がそれを見た時おおいに混乱することでしょう…。
お、恐ろしい…。
わざわざフェイク画像やフェイクニュースをさも真実のように発信してしまうなんて、ろくでもないことをする時代だったんだと、後世の人に笑われてしまうかも。
ヨレンタ
研究員であるにも関わらず、女という理由で図書館の雑用をさせられている。
女は学ぶことは許されないといつも省かれているが、こっそり井戸に穴を掘って、会議を盗み聞きしたりしている知識欲の塊。
知識が人並外れており、バデーニの難問を半日で解いた。
「女は学ぶことはあっても人を教えてはならない。」
「悪魔は女に宿る。」
「新説を発表したら魔女だと言われて殺される。だから男の僕が君の代わりに論文を発表してあげる」
なかなかストレートな男尊女卑の描かれ方でした。
いつか密告されるかもしれないというハラハラした日常の中、それでも地動説に関わろうとする姿は目が離せなかったです。
あと異端審問官ノヴァクの娘だったというのが驚きなのと同時に嫌な予感しかしない…💦
またハラハラポイントが…
「文字が読めるってどんな感じですか」とオクジーに聞かれたときのセリフ。
チ。の作者もこの漫画を作るにあたってたくさんの本や資料を読まれたのだと思いますが、新発見した人の論文ってとてつもない熱量が宿っていると思う。
ピャスト伯
人生をかけて天動説、宇宙の完成を研究していたが、計算が合わない疑問点に苦悩する。
満ちた金星を勘違いだと記憶に蓋をしていたが、持論が覆るのを恐れていた故。
先に研究していた人の研究数十年の歴史も背中にのっかっていたわけだから、バデーニたちが持ってきた地動説の可能性の話は
彼にとっては心がぐしゃぐしゃに枯れてしまうような出来事だったに違いない。
50年、100年どころではなく、天動説は2000年間定説だったわけですからね…
天地がひっくりかえる出来事だったと思います。
ノヴァク
異端審問官。
ラファウが生きていたころにすでに異端審問をしていて、ラファウの自死にも立ち会った。
あれから10年以上経っているが、ラファウの研究は実は受け継がれていて、
それに娘のヨレンタが関わっているなんて、運命のいたずらですね…。
序盤の拷問シーンが怖すぎて、この人出てくるたびに「ヒッ!」となってしまいます。
もし娘が異端者だと密告を受けたらどうするのだろうか…。
チ。のキャラクターって英雄の子孫だったとか、特別な能力があるとかいうわけではなく、武器はただその探究心、好奇心、知識というのにとても惹かれるんですよね。
大抵の人物が最初何か問題にぶつかっていて、くすぶっている。
地動説を提唱したところで、自分の人生が良い方に変わるわけじゃないし
殺されるかもしれない。
ただ歴史を、感動を、証を、どうにか残したいって気持ち一点なんですよね…。
そこにどうしても惹かれます。
チ。は2クール25話らしいのでまだまだ半分なので、今後のストーリーを楽しみに追いかけようと思います!
まだ書き足りないことがあるので後日また書こうと思います!
余談ですが、OPの怪獣のフルバージョンがまだ出てないのって、2番目の歌詞に作品のメッセージや根幹がまた含まれた歌詞があるからまだ出せないのかな…と思ったりしています
毎回飛ばせないOPで大好きです
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