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ダダダイアリー、主に映画。2024/10/16ー10/31

10月16日
京橋のTODA BUILDING 工事仮囲西・北面にて開催の「Tokyo Dialogue2024」へ。
京橋をテーマに写真家と語り手がペアを組みコラボした作品の数々。特に青柳菜摘×上田良による江戸文化を現代にアップデートした作品はフィールドワークから立ち上がった現場感と変容ぶりが楽しくワクワクした。

上田良作品
青柳菜摘作品

シネマヴェーラ渋谷で開催のアイダ・ルピノ特集にて、マイケル・ゴードン監督「逃げる女」鑑賞。
いきなりクライマックスから死人のモノローグに繋がる幕開けの掴み。サイコパスの夫から逃れるルピノ絶体絶命の巻。息もつかせぬ緊張感とモノクロのコントラストの妙。手に汗握る王道サスペンスの醍醐味に溢れた93分。ダイナーで働くルピノをもっと見たかったが。楽しめた。

夜は知人と飲みに行って前から気になってたチーズダッカルビを初めて食べた。美味しかった。

10月17日
ドラマ10「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」全10話ほぼ一気見。
家族に降り掛かる重いテーマを敢えてコミカルに描く大九明子の演出の冴え。コメディエンヌとしてもピカイチな河合優実の天才に全出演者が触発されて引き上げられる相乗効果が功を奏した笑って泣けるドラマ。コレは原作読まないとな。

ヒューマントラストシネマ渋谷にて、空音央監督「HAPPYEND」鑑賞。
物凄く近い未来の高校の卒業間近のかけがえの無い日々。君たちはこの国でどう生きるのかを見つめた113分。彼らの未来とそれぞれのhappyendに涙が止まらなくなった。これは紛れもない私たちの青春映画。何も観なくて良いからこれだけは観てくれと言いたくなる作品。
因みにあの5人の中ではトム推し。あの優しさに何度も泣かされた。
あとパンフレットに寄稿されている永井玲衣さんの文章が素晴らしいのでこれもマスト。

続いてPARCOへ。
B1FのQUATTROLABOにて開催の「アナログばか一代-モノ盤特集-」へ。
湯浅さん復帰で喋りまくり、予約大失敗でしょんぼりのホワイト樋口さん降臨し、谷口雄と直枝さんがワイルド担当する展開。モノ盤が放つ奥行きと厚みの凄みを改めて堪能。やっぱり爆音で聴くならモノに限るな。

樋口泰人さん、湯浅学さん、谷口雄さん、直枝政広さん

10月18日
Dearにっぽん「野球ができてよかった〜東京・青鳥特別支援学校の挑戦〜」録画鑑賞。
知的障害のある球児だけで甲子園を目指す。危ないから止めろと参加さえ出来なかった彼らの初めての挑戦。結果は66対0の5回コールド負け。挫ける事なく諦める事なく完璧に負けた夏。彼らの悔しさと清々しさに泣く。感動して2回続けて観てしまった。

シネマヴェーラ渋谷アイダ・ルピノレトロスペクティヴにて2本鑑賞。
アイダ・ルピノ監督
「恐れずに」
ポリオにより障害を抱えたダンサー。若さゆえの視野の狭さによる感情の極端なアップダウンを見事に演じたサリー・フォレストが若き日のルピノに思えてくるメロドラマ。物語は今から始まる的な希望に満ちたラストにルピノの気負いと気合いが滲む好編。

ニコラス・レイ監督「危険な場所で」
過剰な捜査にくたびれ果てストレスで爆発寸前の刑事と満を持して登場する盲目のルピノとの出逢い。孤独を描き続けたレイの真骨頂とも言える緊迫感漲るフィルムノワール。急展開なハッピーエンドはルピノによるものか。「恐れずに」にの流れで観るとそうとしか思えない。ルピノだから良いけど。

「徹子の部屋/緊急追悼西田敏行さん」録画鑑賞。
過去4回の出演映像のダイジェストで構成。特に「与作」をシャンソン風に歌う姿は永久保存だなぁ。改めてご冥福をお祈りします。

10月21日
ETV特集「俚謡山脈のDIGの細道」録画鑑賞。民謡DJユニット俚謡山脈の2人が東北土着の音をDIGる旅。ナニャトヤラの太いビート、土崎港曳山まつりのグルーヴ、会津のピストルズ上若音曲連による高田甚句。生の民謡とそのバイブスを浴びまくる。ローカルはグローバルだな。リサイクルショップの洗濯機と冷蔵庫の中をチェックするのは勉強になった。

シアターイメージフォーラムにて、イリヤ・ポヴォロツキー監督「グレースgrace」鑑賞。
退屈でウンザリしてる親娘が退屈でウンザリしてる世界を赤いワゴンで彷徨する終末のドライブ。停滞と不穏に満ちた世界の端っこで齎される恩恵とは。寒くて何もなくて会話する気にもならない父親とその中で少しでもマシな方に向かおうとする娘の眼差しの対比。大した事起きなくて良かったと2人の行く末を案じたくなるロードムービー。何でも揃ってるワゴンの車内が宇宙船にも感じた。

代官山に移動。
ライブハウス晴れたら空に豆まいてで開催「Thee MARLOES JAPANTOUR」へ。
チカーノソウル・ミーツ・スラバヤ。今年大名盤のデビューアルバム「Perak」を発表したマーローズのツアー東京最終日。「come on boys!」とバンドを束ねるキュートな姐御感のナタッシャのボーカルが最高なスウィートでグルーヴィーなヤバいライブだった。また来て欲しい。テリマカシ。

マーローズの3人と記念撮影

10月22日
Nスペ「ジャニー喜多川 アイドル帝国の実像」録画鑑賞。
事務所発足当時から問題視されていた案件でありながら姉メリーにより隠蔽され続けた性加害。隠蔽体質な社会構造、被害者に寄り添わない世間、性加害そのものに無知な日本そのものを炙り出す内容だった。先ずは私たちがもっとこの問題と向き合わなくては人が入れ替わるだけで何も変わらないと実感。

東京都現代美術館にて開催中の「高橋龍太郎コレクション日本現代美術私観」へ。
1人の精神科医である高橋龍太郎が集めた現代美術の全貌。根本敬の大作を久々に観ようと気楽に行ったらそのコレクションの膨大さにたじろいだ。自分の好みとかでは無く日本の現代美術を丸ごと保存しようとする気概が感じられ、こういうお金の使い方知ってる金持ちがいて良かったと思った。

奈良美智作品
Chim↑Pom作品
根本敬作品

選挙に不慣れな知人から相談があり候補者から記入から教えてあげた。明日投票に行くって言ってた。良かった。

10月23日
シネマヴェーラ渋谷で開催「安西郷子生誕90年&新東宝特集」にて2本鑑賞。

近江俊郎監督「カックン超特急」
長距離トラック運転手に扮する由利徹が東京の撮影所に配送に行ったら由利徹と間違えられるというしょうもない話。ずっとゆるいコントを見ている様な全然特急じゃ無い展開で観た人間全員がカックンとなる作品。コレは国宝にして貰いたい下らなさだった。

井上梅次監督「ジャズ・オン・パレード1954年東京シンデレラ娘」
伴淳三郎、古川緑波を向こうに回し弾けまくる雪村いづみの天才少女ぶり。豪華スターとジャズオールスターで繰り広げられる心温まるレビュー。「娘十六ジャズ祭り」と並ぶ1954年の財産。これこそ国宝認定の傑作だな。

続いてLOFT9Shibuyaにて開催の「水野しず×能町みね子×冬野梅子の #物好きさんたちの集い vol.4」へ。
引き寄せ難民がLOFT9に大集合して引き寄せない事について考える会。
六畳の風呂があるリフォームしてビフォアになる実家の冬野梅子、蹴りたい背中の変えたい間取りな水野しず、
呂な人生の能町みね子のラッキーちゃんことは。スピリチュアル革命な為になる2時間だった。

10月26日
ユーロスペースで開催の「洞口依子映画祭パート2」にて黒沢清監督「ドレミファ娘の血が騒ぐ」鑑賞。
加藤賢崇のヤンチャと伊丹十三のダンディ。そして洞口依子の眩しさ。ギクシャクとした纏まらなさ。なぜと問う事を禁止した抜けの良さ。表層の戯れとその終わり。映画の解体とその後に吹く風を捉えた貴重な作品。面白いつまらないとか良し悪しでは無く紛れもない80年代の財産。
昔自宅で観た時には「いい加減にしろ」とか思って観てたが、始まって直ぐに風の音にやられて、終いには皆と一緒に草叢を歩き皆と一緒に死んで皆と一緒に洞口依子のララバイを浴びるという多幸感に見舞われた。やっぱり映画はスクリーンで見ないとダメだと何度目かの実感。
上映後には洞口依子さん、加藤賢崇さん、岸野雄一さん、篠崎誠監督によるトーク付き。撮影時のエピソードと加藤賢崇の妄想が炸裂。労働に誇りを持てる楽しい現場だったそれがスクリーンに写っているという皆に共通するエピソードが印象的だった。ドは洞口のドって事で、コレは第3回も開催して貰いたい。

洞口依子さん、加藤賢崇さん、岸野雄一さん、篠崎誠監督
40周年記念レコードと記念冊子にサインをして頂いた。

10月27日
選挙当日。最悪の結果は免れたがそれほど喜ぶべき結果ではない。今回の選挙で色々なものや人が顕在化されたので更に絞り込めて来た感があったのは良かった。

10月28日
五反田Live&CafeBarROCKYにて開催のイベント「&STAGE」へ。
会社員×パフォーマーのコミュニティ&ステージイベント。第2回目となる今回はアットホームなテイストでまったりと開催。三重から駆けつけてきたダンサーのデビューステージやマジックやバーレスクなど計4組のパフォーマンスを堪能。料理が美味しい場所なのも良い。次回も楽しみだ。

伽藍さん、Emiさん
ナナさん
出演者による記念撮影

10月31日
YEBISUガーデンシネマで開催の「映画作家ジャンヌ・モロー」にて3本一気見。
「思春期」
思い返せばあれが穏やかだった最後の夏休み。好奇心の塊の少女が駆け巡り恋に落ちて傷ついて痛みを知る。イノセンスの終わり、大人の始まり。カミング・オブ・エイジ。美しい撮影とモローのナレーションで綴った人生の縮図を一夏のバカンスに閉じ込めた見事な群像劇。

「リュミエール」
4人の俳優たちの恋愛、葛藤、連帯などのバックステージを描いたそれぞれのリュミエール。鮮烈な赤を纏ったジャンヌの佇まいを蒼きモローが捉える。主演4人のみならず、キース・キャラダインのアホぶり、フランソワ・シモンの静かな苦悩ぶりも素晴らしい監督デビュー作。

「リリアン・ギッシュの肖像」リリアン・ギッシュとの単独インタビューを収めたドキュメンタリー。快活にハキハキと喋り倒す元気過ぎるギッシュの名言連発。世代を超えたリスペクトに満ちた共闘に胸熱。

俳優としての華麗なキャリアとは裏腹に監督作はたったの3本しか残せなかったジャンヌ。でもどれも宝物として仕舞い込みたい珠玉の3本なので早くボックス出して欲しい。そして監督モローを再評価して映画史を書き換えて貰いたい。


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