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ダダダイアリー、主に映画。2023/6/16ー6/29


6月16日
下北沢トリウッドにて酒井善三監督作二本立て(もしくは西山真来特集)へ。
「コロナvs信心」
気の力でコロナ克服を呼びかけるカルト教団の事務所で集団感染が発生。その時信者のとった行動とは。組織はインチキでも信仰という行為そのものはリアルである事の判断のつかなさが絶妙な、間口の広い余韻を残す49分の群像劇。最後は西山真来さんが見事に締めた。

「カウンセラー」
3回目。カウンセラーとクライアントの立場が入れ替わる様に交差してこれはいったい誰の話なんだと不明にさせた所で放り投げる不気味な怖さ。作品の緻密な構成が深読みを誘う42分のサスペンス。何度観ても笑ってしまうほどに怖い。 

上映後には酒井善三監督、両作品に出演の蒲池貴範、松本高士による舞台挨拶付き。実は2作とも笑わせようと思って作ったのに全然ウケなかったという事が判明。笑いと狂気は紙一重だな。確かにコメディとして観たら2作品とも笑いどころ満載なのは確かだ。

酒井善三監督
松本高士さん、蒲池貴範さん
酒井監督、松本高士さん、蒲池貴範さんと。

渋谷に移動。
シネクイントにて、ジェラード・ジョンストーン監督「M3GAN/ミーガン」鑑賞。高性能過ぎるAI人形ミーガンの強すぎる愛情が巻き起こす子守スリラー。物語の構成や展開はオーソドックスだし目新しさは無いが、ミーガンのキャラクターの完成度によりティピカルなホラーの強みが存分に発揮され、もうずっと笑ってた。いやホントに楽しかった。

6月18日
BSフジ「アワ・フェイバリット・ソングVol.5~私が「Rain」を愛する理由~」録画鑑賞。
あの転調の激しい不思議な楽曲がこんなに多くの人にカバーされている事知らなかったし、死ぬほど忙しい中であの曲が作られたという大江自身のエピソードが壮絶で面白かった。

KAATにて開催のDance Company Lasta New Work2023「ROOM」観劇。
閉じた部屋に佇む男が遭遇する惨劇。赤いファブリックから現れる黒マスクの男。夢か幻かそれは自分か。デヴィッド・リンチ的ワンダーと相似した一貫した櫛田祥光ワールド全開のダークファンタジー。今回もかなり映像的なコンテだった。

6月19日
ポレポレ東中野で開催中「映画監督ヤンヨンヒと家族の肖像」にて、ヤンヨンヒ監督「愛しきソナ」鑑賞。
北朝鮮で暮らす姪のソナにスポットを当てた第2作。ソナ3歳から13歳迄の成長の記録とその後の家族の記録。ホームビデオという形を取りながら北朝鮮のリアルな暮らしを映像に残した、ソナとの再会を願わずにはいられなくなる貴重なドキュメンタリー。久々に観たけど画像もキレイになって素晴らしかった。

引き続きポレポレ東中野にて、吉田奈津美監督「浮かぶ」鑑賞。
選ばれた妹と選ばれなかった姉。見られる妹と見る姉と2人を知る幼なじみの視線の交差から浮かび上がる過去の記憶と危うい季節に在る3人の日々。曖昧な時代設定と抑制されたトーンが多面的で耐久性のある物語として結実した好編。
アフタートークで吉田監督と主演の田中なつさんが登壇。制作時の撮影エピソードやタイトルに込められた想いなどが聞けて良かった。吉田監督は新作の撮影も控えているとの事で今後の活躍も楽しみだ。

吉田監督、田中なつさん

帰宅後、映像の世紀バタフライエフェクト「ビートルズの革命 青の時代」録画鑑賞。 
ライブ活動休止後のビートルズのその後と世界に与えた影響。東側諸国にも影響を与え、バルト三国独立に貢献を果たし、そしてルーシーは宇宙に行くという展開はいかにもバタフライ的だがそこが良いんだな。

6月21日
ジェームズ・ワン監督「マリグナント凶暴な悪夢」レンタル鑑賞。
殺人事件の現場に立ち会うという悪夢。そしてガブリエルとはいったい何者なのか。ミステリーとサイコスリラーを足して最後はアッと驚くトランスフォームな殺戮のバトルアクションで締めるという、ありったけのオマージュとオリジナリティを注ぎ込んだハイパーホラーにグッタリ。
特典映像のメイキングは皆んな無茶苦茶楽しそうだった。

夕方から知人と池袋で飲み会。何年振りか分からない位にひさしぶりにカラオケボックスに入ったが、料金体系から何から意味が全然分からなく、声も全然出なくてほぼ初見の様な気分になった。まぁそれでも楽しかったが。

6月22日
テレ東「あちこちオードリー」ももクロ回が面白過ぎた。ももクロ結成15周年を振り返る内容なのに全部のエピソードで爆笑しか起きないという凄まじさ。ももクロ4人の発光しまくる明るさに照らされてひたすら幸せな気分に浸れた。あと2時間位は全然観れたな。

横浜のジャック&ベティにて、松原文枝監督「ハマのドン」鑑賞。
政府が推進する横浜へのカジノ誘致に断固反対をし立ち上がったハマのドンこと藤木幸夫を追ったドキュメンタリー。党派など関係なく間違った事を間違ってると言う筋の通し方。そのブレない人生の実践。主権在民を提示した見事な作品。ホントにカジノなんか要らないとつくづく思った。

引き続きジャック&ベティで開催中のフットボール映画祭にて、アンドレア・ニックス・ファイン,ショーン・ファイン 監督「LFG-モノ言うチャンピオンたち-」鑑賞。
米女子サッカー代表チームがイコールペイを求めて連盟を訴えた闘争の記録。スクリーンで観るラピノーは最高にカッコ良かったな。これはもっと色々な映画館で上映して貰いたい重要作。

6月24日
NHK映像ファイル「あの人に会いたい 高橋幸宏」録画鑑賞。ミカバンド、YMO、ソロ、幼少期から晩年まで。その才能と人柄。わずか10分の間に見事にまとめた幸宏70年の生涯。土曜ソリトンとか懐かしかったな。これは泣けた。幸宏にまた会いたい。ホントに会いたい。

新宿ピカデリーにて、ジェラード・ジョンストーン監督「M3GAN/ミーガン」鑑賞。 2回目。
「女囚さそり」や「0課の女」に匹敵するミーガンのツンデレぶり。
テクノロジーの倫理や現代の育児問題を内包しながら、娯楽ホラー作品としてキッチリと落とし込んだスマートでクールな演出。コレはやっぱり名作だ。

6月25日
アラン・ロブ=グリエ「覗くひと」読了。
時計の行商人マチアスが生まれ育った離島で時計を売り始めるが。全然前に進んでる感じがしない物語と主人公の有機的な意識の流れの緻密さにイライラしてるうちにいったい何を読んでるのか良く分からなくなる孤高のヌーボーロマン。あーしんどかった。

6月26日
BSフジ鮎川誠追悼番組『シーナ&ロケッツ 鮎川誠~Keep A-Rockin’~』録画鑑賞。
フジテレビに残されたライヴアーカイブを中心にインタビューを挟んだ構成。もう大丈夫だろうと思って見てたら直ぐに全私が泣き出した。ロックに愛されたシーナと鮎川誠のロックな人生。これは劇場版公開して欲しい。

渋谷へ。
ユーロライブで開催中の浪曲映画祭にて、マキノ正博監督「世紀は笑ふ」鑑賞。
手品師と浪曲師を目指す支那そば屋台の親友2人の人生。広沢虎造の浪曲と杉狂児のコミカルと轟夕起子の愛嬌で綴る物語。フィルムが一巻分抜け落ちてるらしいがそれでも存分に楽しめた。終演後には富士綾那の生浪曲も聞けて良かった。

続いて清瀬英次郎監督「新佐渡情話」鑑賞。
浪曲ヒット作「佐渡情話」をベースに新たな話に仕立て上げた便乗浪曲シネマ。浪曲師寿々木米若の挨拶から始まる画期的なオープニング以外は可もなく不可もない展開の王道メロドラマだけど浪曲に乗って話が進む展開やっぱり趣きがある。
毎年恒例だったこの映画祭。今回で一区切りらしい。また違う形で何かやって貰いたい。

下北沢へ。
ニュー風知空知にて開催の「アナログばか一代」へ。
映画「PLASTIC」公開直前SP。エクスネ・ケディの居た1974年特集。
名盤揃いの74年なので途中までロック喫茶状態。それでもミック・ロンソンの「ラブ・ミー・テンダー」とか流れるのはさすがアナばか。74年はまだまだ続けられるな。樋口さん暫く静養入るし、スーパーサブの細井さんも留学するしで、上半期無事終了回となった。
とりあえず樋口さんお大事に。細井さんお疲れ様でした。

谷口優さん、直枝政広さん、樋口泰人さん、湯浅学さん

6月28日
湯浅学「ライク・ア・ローリングカセット カセットテープと私ーインタビューズ61」読了。
衣笠祥雄に始まり折坂悠太で終わるバラエティ豊かな61人によるカセットテープにまつわるそれぞれの人生。中でも戌井昭人のキース違いのエピソードは最高。カセット知らない人でも楽しめる一冊。

Eテレ100分de名著ナオミ・クライン「ショック・ドクトリン」全4回録画鑑賞。
フリードマン理論、シカゴボーイズ、政府と企業の回転ドア。戦争やテロを作り出し、災害につけ込む新自由主義者たちの暗躍の歴史。ショックな時こそ冷静に立ち止まってみる。これは毎日再放送して欲しい永久保存回だった。

シネマカリテにて、荻上直子監督「波紋」鑑賞。
新興宗教にすがり暮らしてる女性の元に失踪していた夫が帰って来て。
日常に潜む不快さと不安。社会生活に付き纏う絶望感。人生に訪れる様々な波紋を抽象と具象で見事に表現してユーモアも散りばめられた作り手の手応えしか感じられない作品。筒井真理子はまた新たな代表作を手にしたな。面白かった。

引き続きシネマカリテにて、メーサーロシュ・マールタ監督「ドント・クライ・プリティ・ガールズ!」鑑賞。
工場で働く若いカップルのなんやかんや。愛と青春と倦怠をこれでもかというハンガリアンロックで綴る。閉塞的な短い季節に足掻く刹那的なボーイズ&ガールズ。こんなプリティな作品があったのか。マールタデビューやっと出来た。

6月29日
野毛にある博物館Cafe&Barうっふにて開催の「DANCER'S PIANO ピアノと歌とベリーダンス」へ。
LaLa&NINA GALAXYによるピアノと歌とベリーダンスとコンテのコラボショー。約一年ぶりだったけど、前回とはまた違う趣きの3部構成。歴史ある建物との相乗効果もあり、この場所の空間だけで生まれる空気感を満喫して来た。

2023年上半期映画ベスト
1.逆転のトライアングル
2.郊外の鳥たち
3.エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス
4.それでも私は生きていく
5.aftersun/アフターサン
6.コンパートメントNo.6
7.私、オルガ・ヘプナロヴァー
8.SHE SAID
9.ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーVOLUME3
10.M3GAN/ミーガン

邦画しばり
1.ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい
2.波紋
3.エゴイスト
4.上飯田の話
5.浮かぶ
6.REVOLUTION+1
7.コロナvs信心
8.うつろいの時をまとう
9.老ナルキソス
10.ハマのドン

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