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ダダダイアリー、主に映画。2024/11/3ー11/15
11月3日
ユーロスペースで開催中のOUTCASTFILMFESTIVALにて、ベンジャミン・リー監督「画家と泥棒」鑑賞。
絵画を盗んだ犯人と盗まれた画家が出逢い、その犯人をモデルに画家は新作を描き始める。見るものと見られる側の反転と共犯。そして盗まれた2枚の絵の行方。先の読めなさと思いもよらない展開。スリルとサスペンスと驚きに満ちたドキュメンタリーだった。
上映後には出演した画家のバルボラ・キシルコアさんとライターの村山章さんによるトーク付き。本作を既に6回観ている画家泥マニア村山氏の問いとバルボラさんの丁寧な返答によりあっという間に終了。終演後のロビーで本編で登場した本物の作品と一緒にバルボラさんと写真撮って貰った。この作品で初めて知ったが本作をきっかけにもっと有名になって欲しいアーティストだと思う。
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続いてシネマヴェーラ渋谷にて、木村惠吾監督「惜春」鑑賞。
最初と最後にチョロっと出て来て暴れ倒す笠置シヅ子の亭主として登場する上原謙のウジウジぶりが炸裂した作品。笠置が長期公演で留守の間に雇われた女中の神対応に心奪われトキメクが何も出来ずに終わる謙の惜春。こういう役の上原謙は天下一品だと実感。
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そして最後はLOFT9Shibuyaで開催の「水野しず歌集『抜け出しても抜け出しても変なパーティー』刊行記念パーティー」へ。
短歌と東京百年の変遷。
三島由紀夫が死ぬほど嫌った変なパーティしか行われない現在を名指していくリトマス試験紙の様な水野しずのダイレクトさを穂村弘が絶賛しようとするとそれを妨害する水野。
そして最後に飛び入りし喋り倒す枡野浩一。全部ぶら下がっているおかしな世界を俯瞰できるパーティーだったって事で1日キノハウスで過ごした。
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11月4日
水野しず歌集「抜け出しても抜け出しても変なパーティー」読了。
これは歌集と言うよりも叫びだろと言いたくなる檄文としてのダイレクトさとこの社会との答え合わせの様な正直過ぎる事実の連なり。どこもかしこもで変なパーティーを繰り広げる可笑しな世界でぶら下がる私たちに向けたカナリヤの鳴き声もしくは龍の慎み。
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11月6日
麻布台ヒルズ内ギャラリー&レストラン舞台裏にて開催中の石原海個展「激雷」へ。
日本で1番雷が落ちる場所で雷に打たれたものだけが立てるステージがある。そこで踊ることを夢見る少女。神話という大きな物語に依存しながらその淵を覗いた時に始まる小さな物語。短編映画のフォーマットで描いた凡ゆる小さき人へのダンス。3回繰り返して観た。
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続いて東中野に移動。
ポレポレ東中野にて、川上さわ監督「地獄のSE」鑑賞。
地獄くらいに終わってる世界の爆笑と断絶。山戸結希、山中瑤子、金子由里奈作品を初めてポレポレで観た時と同じトキメキとそれ以上の衝撃。バトンの継承とその更新。今後コレが新たな基準となる新しい映画のリーダーズと言いたくなる下半期一位候補作品。
上映後には川上監督と金子由里奈監督によるトーク付き。わからないまま疾走する自由な映画の佇まいへの絶賛。ライバルは詩集だと言った川上監督。元々はコントから派生した物語であることなど色々伺えた。次観るときは遠慮しないで爆笑しながら観ようと思った。ホントに最高な作品。
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11月7日
Dearにっぽん「思い出が帰るとき〜石巻タイムトラベル写真展」録画鑑賞。
石巻在住の写真家が15年以上前に開催した子ども写真教室で、子どもたちが写した写真を撮影者に返す為に企画したフェア。好奇心と無償性と今は無い風景や今はいない人の記録。思い出と記憶を魔法みたいに返す写真というメディアが放つシンプルな力に泣く。
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神宮前のGallery38で開催中の細井美裕「ステイン」へ。
サウンドアーティスト細井による初個展初日。会話のみをカットした音のファイル、物体化された音、降り注ぐ音。沈黙の音。私たちにまとわりつく音を丁寧に抜き取って再構築した様々なレイヤー。ギャラリー外の道路の音と会場の音が自然と混ざり合う開かれた構成が良かった。
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続いてヒューマントラストシネマ渋谷にてローレン・ハダウェイ監督「ノーヴィス」鑑賞。
ボート部の狂ったシーズン。最初から最後まで1ミリも理解出来ない、ずっとこの子何やってんのって感じで呆然と俯瞰するしか無くなる絶望的な青春。ホントに一切救いの無い作品だった。
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続けて、空音央監督「HAPPYEND」(Odessa上映)鑑賞。
2回目。近未来のノスタルジー、テクノロジーと引き換えに後退する社会。刹那的で懐疑的で普遍的な青春。AIで感知出来ないモヤモヤとして気まぐれであやふやなティーンエイジラスト。どうか素敵な結末でありますように。
Odessa仕様で感動も増した不滅の青春映画。やっぱりこの作品は爆音が似合う。素晴らしかった。
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11月9日
ミシェル・ウエルベック「地図と領土」読了。
天才芸術家ジェドの成功と生涯を通じて照射するマーケットと社会。ウエルベック本人が本人役として登場。ジェド作品変遷のリアリティや後半の急展開とアンチクライマックスなど、ウエルベックの世界に対する眼差しのスタンスを楽しめる読み応えある作品だった。
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新宿御苑ROSSOにて開催の三日月色プロジェクト「三日月色の女たち」へ。
AV女優、ストリップ嬢、ホストに貢ぐチャットレディ。彼女たちを見守る占い師。夜の街で静かに光る少し欠けた三日月の女たちの色々ある日常。彼女たちに満たされる日は来るのか。A after party tokyoのお馴染みのメンバーたちが普段とは違う顔を魅せるステージ。開かれてポイントを押さえた構成なレディナナ後藤尚子の作・演出の光る舞台だった。
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その後は急いで東中野へ。
ポレポレ東中野にて川上さわ監督「散文、ただしルール」鑑賞。
世界は危険に満ち溢れてるから過剰防衛。神はサーモグラフィーしか見ていないからバランスを取れ、辻褄を合わせろ。強迫観念の果てに突き抜ける自分語り。タカノさんが男前過ぎてイマジナリーフレンドになって欲しくなったって事で優勝です。恐るべきデビュー作だった。
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11月10日
聖蹟桜ヶ丘のカフェ、キノコヤにて、小谷忠典監督「たまらん坂」鑑賞。
黒井千次の原作を朗読しその世界を映像で再現しながら、オリジナルの物語に移行していき、主演の渡邉雛子は大学生活の4年間をこの役と共に過ごすというドキュメンタリーとフィクションをシームレス繋いだ人生に訪れる坂を描いた映画。坂道を駆け降りRCサクセションで踊る小沢まゆの貢献が光る作品。
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上映後には出演者の渡邊雛子さんと小沢まゆさんによるトーク付き。制作の成り立ちや長期に渡った撮影方法や渡邊さんのあの入水シーンなど貴重な話が伺えた。
さらに終映後は下のカフェで田芋パイとコーヒーを頂きながらお二人と少し話せたので映画の疑問点や感想などを伝えてスッキリとした。久々に訪れたキノコヤ、相変わらず居心地良かった。
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帰宅後「BS伝説のコンサートチューリップ1984PAGODA」録画鑑賞。
リアルタイムで1番聴いてた時期のロックバンドとしても充実していた時期の伝説の野外ライブ。タイムマシンがあれば生で観てみたいライブの一つ。本当にこれは観に行きたかった。
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11月12日
東京日仏学院にて開催、マキシム・ラッパズ監督「山逢いのホテルで」先行上映会へ。
ジャンヌ・ディエルマン的ルーティンで過ごす障害のある息子を1人で育てる仕立て屋の女性の元に訪れる激しい恋。果たして彼女が取る選択とは。
スイスの壮大な美しいロケーションとそれに全く引けを取らないジャンヌ・バリバールのノーブルな佇まい。見事な結末に至るまで一瞬も目が離せない作品だった。
上映後には主演のジャンヌ・バリバールさんがオンラインで登場して坂本安美さんとトーク。「ジャンヌ・ディエルマン」との類似や相違。主人公の現代的な視点などたっぷりと伺えた。バリバールさんチャーミングだったな。来日して欲しかった。
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11月15日
BSプレミアムドラマ「団地のふたり」全10話一気見。実家の団地で暮らすノエチとなっちゃん。幼馴染の2人と様々な団地の人々の交流。エイジングの素晴らしさを実践する小泉今日子と小林聡美というベストキャストと豪華なゲスト。毎回笑わせホロっとさせる展開。2人歌合戦の怒涛の最終回まで本当に楽しめた。これは続編か映画化を希望したい。
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久々に渋谷の無機質カフェことカフェモノクローム(@CAFEMONOCHROME)へ。
期間限定メニューのThom Yorke inpspire drinkを。3種類あるうちアルバム「Tomorrow's Modern Boxes」をイメージしたカフェラテにグリーンバナナを入れたやつを頂く。トム作品全然聴いてなかったのでこれを機にヨーク聴いてみようと思った。
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続いてシネマヴェーラ渋谷で開催中の「生誕100年スタイリッシュ石井輝男」特集にて、石井輝男監督「ならず者」鑑賞。
香港マカオをトッポい高倉健が往く。九龍城やスラム街の大ロケーションの貴重な映像。キュート過ぎる加賀まりこの客演。八木正生のクールサウンド。スタイリッシュ石井輝男の手腕が炸裂したハードボイルド巨編。これは観たことなかった。面白かった。
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