ミラノ工科大学Ph.Dの出願書類で気をつけたこと
ミラノ工科大学のPh.D.出願時に自分が提出した書類は以下の通りです。
CV(語学能力、成績含む)
研究計画書
志望動機書
採点対象は上記書類のみであり、各45, 40, 15 (/100) の配点でした。
筆者の戦略は、上記書類でアピール点を以下のように差別化する事でした。
1→ 研究とコミュニケーション能力
2→ 計画の新規性と実現性
3→ イタリアにこだわる理由+情熱
0. 採用したい学生像とは?
筆者は書類の作成にあたり、まず大学がどんなPh.D.学生を採用したいか考えました。
一番最初に思い浮かんだのは、ほっといてもバンバン研究成果を出せる学生です。だが、筆者にはそんな研究能力も目立った研究成果ありません。
次に思い浮かんだのが、ミラノ工科大学で確実に博士号を取得するイメージの浮かぶ学生です。これなら研究成果がなくても、上手く誤魔化せる自信がありました。
筆者の思い浮かべた「確実に博士号を取得出来る学生」というのが、先述の書類のアピール内容に直結します。
1. CV
まず「1. CV(→研究とコミュニケーション能力)」についてです。
研究能力で思い浮かぶのは、専門知識(=授業の成績)、実験・解析技術、研究成果です。筆者の研究成果は平凡だったので(国際学会2本のみ)、申し訳程度に大学の授業で習得した実験やソフトの使用経験を書き連ねました。
幸運だったのは、ミラノ工科大学のCVには、課外活動や多文化経験に関しての記述欄があった事でした。
海外大学では珍しいサークルでの経験や、交換留学の経験を書いて、自分一人で解決出来ない難題を、周りの人に相談して解決した経験をアピールしました。研究に行き詰まった時、教授や周りの学生に即座に相談して解決出来る事をアピールするためです。
また、筆者が修士時代に研究そっちのけで習得したイタリア語で流暢な文章を書き、イタリア人の教授や同僚と仲良くなれるアピールもちゃっかりしました。
2. 研究計画書
続いて、「2.研究計画書 (→計画の新規性と実現性)」です。
成績や研究成果が目立たない人にも、教授陣に関心を抱かせる、新規性と実現性を備えた研究計画は作成可能であると思います。
なぜなら、世の中の研究の多くは、特定分野に知識に偏っているからです。ゆえに、計画段階で特定のテーマに関する論文を沢山読むだけでも、他の分野の研究者よりは、すぐに当分野で詳しくなれると思います。
後は、オリジナリティを加えて、論文を読んで得た知識を応募する学科の教授の誰が読んでも理解出来るようにアウトプットすれば、それなりに実現性のある研究計画を作成する事が出来ると思います。
筆者は、研究計画書に関しては、東工大の教授や博士学生に読んでもらい、近い分野の人にとって分かりやすい内容になっているか、新規性が明確かを入念に確認してもらいました。
3. 志望動機書
最後に、「3. 志望動機書 (→イタリアにこだわる理由+情熱)」についてです。
1, 2でアピールしたポイントは、「ミラノ工科大学」に限らず有効だと思われます。そのため、筆者は志望動機書を通して「ミラノ工科大学でのPh.D.」に拘る理由をアピールしました。
具体的には、筆者の専門とする「コンクリート構造物の維持管理」に関するイタリアと日本の共通点、志望大学での当分野の研究が盛んな事であることを志望理由に結びつけました。
また、交換留学の経験をもとに、ミラノ工科大学の環境が自分の目標実現(=Ph.D.取得の情熱に直結する部分)に最適な環境の一つである事を強調しました。
4. さいごに
また、全体を通して無駄を省き、各文に明確な意図を含ませる事を心がけました。”採点者が評価しやすい文章=自分のアピールが通じている”と思います。
最終的な配点は、
1.CV→ 34/45、2.研究計画書→ 35/40、3.志望動機書→ 14/15でした。
このように、Ph.D.の出願時には、研究成果や成績が目立たなくても、他で挽回可能であることが分かります。
(特にイタリアで)海外Ph.D.を目指す日本人が増える事を祈ってます。
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