イタリアPh.Dの記録:4ヶ月目「研究テーマが決まった!」
おつかれさまです。
研究への関心が高まるにつれて、身近な芸術への感性が失われていく今日この頃です。
2022年11月にイタリアのミラノ工科大学でPh.D.(構造・コンクリート工学が専門)を始めて早4ヶ月が経ちました。以下が活動のまとめになります。
研究テーマの大枠の決定
学会論文の修正・最終版の投稿
梁要素(Beam element)を用いた構造解析の勉強。
文献調査(今月の記録:24本)
日本から来た友達とナポリ旅行
まず研究テーマについて、2月中旬に教授とミーティングをして遂に博論の大枠が定まりました。博士応募時に提出した研究計画書の内容から大きく方向を変え、修論の延長となるテーマになりました。詳細は以下の通りです。
修論
コンクリート構造物に用いる表面被覆工の塩分浸透に対する長期的耐久性
↓
博士応募の書類
モニタリングによる橋梁の残存性能評価の信頼性向上。(Bayesian analysis(ベイズ分析)とFinite element model updatingを活用)
↓
博論(大枠のみ)
(補修・補強を想定した、)複合素材で成る橋梁部材中における劣化因子の拡散・鉄筋腐食のモデリング。ライフサイクルパフォーマンス予測への適用
研究留学を修士2年時に行うために、修論では敢えて時間さえあれば一定の成果を確実に見込める、材料の長期的耐久性を調べるテーマを選びました。研究は計画通り進んだ一方で、脳死で同じ内容の実験を繰り返す時間が長く、研究の楽しさを殆ど感じられませんでした。
博士では衰えた脳を叩き起こすべく、今まで理解の不十分だった構造解析を基礎から学び直し、マクロな構造解析に取り組むつもりでいました。
結局、指導教官の提案により、構造物の材料的性質というミクロな内容に戻って来たのですが、複合材料の構成則に着目した、解析中心の構造力学をフル活用した内容に出来そうなため、今は楽しく文献調査しながら研究構想を膨らます事が出来ています。
さて、以前から進めていた学会論文の執筆について、提出期限のギリギリに指導教官のコメントを受け取り、大急ぎで修正を行い無事提出できました。今回提出した学会、実は自分の指導教官が主催だったので運営に大忙しだったんですよね。
と言うわけで、下記学会が今年7月にイタリアのミラノ工科大学で行われますので、筆者の勇姿をご覧になりたい方は、是非ミラノまで足をお運びくださいませ。
勉強に関してですが、2月終盤から修士向けの、梁要素(beam element)を用いた構造解析の授業を受講し始めました。橋梁等の耐荷性能を調べるのに非常に有効な方法で、非常に有意義な内容です。
ちなみに、12月に受講した非線形有限要素解析の授業で扱われていたのは、ソリッド要素(三つ以上の点を結んだ要素)と呼ばれるものである事を知りました。梁要素と比較すると、節点が回転の自由度を持たない、より複雑な形状を表現出来る、Gauss点を用いて直接解ではなく近似解を求める、などの違いがあるようです。
まだ知識が不十分なため、理解を深めてから、梁要素とソリッド要素の違いについて改めて考察したいと思っています。
文献調査は、コンクリート構造物のせん断耐荷力を推測するのに用いられる修正圧縮応力場理論と、博論のテーマに関するコンクリート中の鉄筋腐食進展のモデル、ならびにRCはりの耐荷性能に与える影響、というテーマに沿って行いました。
2月中旬には、日本からわざわざ会いに来てくれた友達と4泊5日でナポリを旅行しました。夜に到着して、2日目にカプリ、3日目に市内散策、4日目にポンペイ、5日目に地下都市のツアーという行程で行って来ました。
ナポリに行った感想は、
「海のある街は良い」
「ピザとスイーツが美味しい。そこら中で小腹を満たせる」
「沢山の子供が夜遅くまで外にいて、男の子は上下ジャージ、女の子はフサフサしてキラキラした服。漫画でしか知らないけど、まるで田舎のヤンキーみたい。」
です。
今後のnoteの方向性は、
自分の研究内容に近づけてより専門性を高めていく、です。
最後に、筆者が留学4ヶ月目にして気付いた事です。
イタリアでPh.D.をする理由(t→∞)→ご飯が美味しい。
ナポリでの出会い達。
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