救世主
自分で決めてやってきたものの、最初の1か月は本当に苦しかった。
言葉もよくわからないし、やることなすことうまくいかない。
しかも、簡単に気晴らしに出かけられる場所でもなかった。
ある日、ギリギリのところで、少しお休みがもらえた。
前から行きたかった街に行けることになった。
宿もご厚意で取ってもらえた。
久しぶりに気の向くままに歩き回る。
公園まで足を延ばした。
ふと、横道に入って、導かれるように歩いていく。
近寄ってみると、私の大好きな彫刻家の作品だった。
まるで私を待っているかのように立っていた。
ここで会えるとは思ってもみなかった。
「大丈夫だよ」
そう言ってくれている気がした。