『暑寒を制す』⑱室外からの熱を排して純粋な室内の熱源だけに絞り込めば室温制御が楽になり、省エネも促進できる。
外来熱の凄まじさはもうご理解いただけたと思います。ではその外来熱がどのくらい室内に影響を与えているのでしょうか。
ボイラーやオーブンなどの特殊な熱源がなければ、理論上は普通のエアコンで十分事足りるのです。
先にも説明しましたが、室内の熱源は知れたものです。なのに、熱を制御できないのは外来熱である輻射熱に手をつけていないからです。
ちなみに外来熱の8〜9割は輻射熱だといわれています。残りが伝導と対流による熱ですからそちらは無視できる量です。
なので外来熱のほとんどを占める輻射熱をなんとかすれば快適空間は簡単に作れるんです。
そして、理論上、外気が体温より低ければ暑く感じることはないはずです。輻射熱さえなければ体温より低い温度に暑いと感じることはないはずです。
でも輻射熱を正しく制御できなければなかなかここまではできませんが。
実際に輻射熱を遮断した建物は、真夏の昼間でもエアコンを使わずに過ごせるのです。扇風機だけで充分なんです。
前にも説明したとおり、気温と輻射熱による体感はイコールではないのです。
想像してみてください。真夏の炎天下。死ぬほど暑いです。でも木陰に入るとそれだけで体感温度は下がり、大分楽になります。
これって気温が変わったからでないことはおわかりですよね。木陰に入ったからと言って気温が大幅に下がるわけではありません。
気温は空気の温度ですから、日向と日陰でそれほどの差は生じません。ただし、木陰の場合は上からの電磁波は防げているので、大いに対輻射効果が得られています。
しかし横や地面からの輻射は防げていませんが、地面にあたる直射日光が少ない分、地面の熱が日向より低いので二次輻射が弱いために気温が低くなることは考えられます。
そのような相乗効果で日陰は涼しく感じるのです。そこにちょっとの風が吹けば熱が奪われ、汗をかいていれば気化熱が促進されるのでより涼しく感じられるのです。
このように室内でも電磁波を防げば純粋に室内の熱源だけを対象にして空調をかければいいので、室温制御が楽になるのです。
できるだけ外来熱を防いで純粋な熱源だけにする、ということが重要なのです。
次回は、輻射熱をどう防げばいいかを考えてみます。