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『暑寒を制す』⑦室内を最低限のエネルギーで快適空間にするためには「室内の熱を冷やす」だけじゃダメだった。でもこれを解決すれば省エネ快適空間は簡単です。

⑤と⑥は室内で発する熱以上に外からの「外来熱」がどれだけ大きな影響を及ぼしているかを物語るストーリーです。

物語るといっても、熱は目に見えないので思った以上にやっかいなのですが、原理を知ると理屈上は単純なんです。あえて理屈上といったのは、その原理に則って建物に施さなければならないことがあるからです。

これについてはもっと後にお話しします。まずは熱の正体にもう少し迫りましょう。

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いよいよここから本質に迫っていきます。

では、外来熱の熱源はいったいどこにあるのでしょう?太陽は最も大きな熱源ですがそれだけではありません。

太陽は直接的な熱源と言えますが、間接的な熱源もたくさん存在します。

路面、壁面、などの人造物、とくにコンクリートやアスファルトで作られたものをはじめ、クルマなど熱を持つもの、熱を発するものすべてのモノが外来熱として影響を与えています。

わたしたちはこのような外部から影響を与える熱のことを「外来熱」とよんでいますが、この「外来熱」が強烈なんです。

ご承知のようにコンクリート建物の屋根には熱がこもりますし、アスファルトの道路は照り返しだけでなく、熱を溜め込みます。コンクリート造の建物に限らず、倉庫や一般家庭でも真夏の屋根はかなりの熱さになります。

アスファルトの道路も建物の屋上もとても裸足では歩けないほど熱せられ、その熱を保持します。この性質が夜中になっても人々を悩ませる熱源となっているのです。

これら熱を持つものが発する電磁波が外来熱として、あるいは熱源として他の建物や人々に影響を与える仕組みは、太陽と同じなんです。原理的には。規模はもちろん違いますが、細かい仕様も異なります。

なので、都市部においては四六時中、そこら中にミニミニ太陽が転がっていて熱を発しているようなものだということなのです。

研究と実地施工の結果、「熱」そのものについては「外来熱」までたどり着きました。ということは、夏の熱対策は室内だけを見ていてはまったく意味がない、ということも理解しました。

そしてこれらの「熱」、熱といわれていますが、実際は熱を伝えているわけではなかったのです。熱は持っているのですが、熱自体を伝えているわけではない、ということです。

もう少し分かりやすくいうと、仮に10m先に40℃の物体があるとします。その物体は確かに熱を持っています。熱を発しています。

でも10m離れたあなたに直接熱を伝えているわけではありません。このコラムの最初で説明した、太陽と地球のような関係ですね。

実は熱は熱だけではなく、伝わり方にポイントがあったんです。発した熱、保持した熱、をどうやって他へ伝えるか。

熱というものは伝わることで初めて実感するものです。赤外線のサーモグラフィーを見てもイメージはできますが熱を実感できないのと同じです。

外来熱も熱の状態だけなら、何も問題はないのです。こいつが伝わるから問題なのです。

なので、この熱の伝わり方を理解して「外来熱」をなんとかしてやれば、快適なんて簡単、なんです。

問題はどうやってなんとかするかなんですが、その前に熱がどうやって伝わるのか、環境によって温度の体感が違うのはなぜかなどについて、もっと深く探っていきたいと思います。

次回は「熱がどうやって移動するか」について掘り下げていきます。

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