『暑寒を制す』⑯そもそも気温とは何なのか?日常的に使っているのにその意味を深く考えたことがなかった。でも「気温の正体」がわかった!
気温とは、その名の通り空気の温度です。日本では摂氏が使われています。摂氏は水が基準になっています。液体である水が固体=氷になる温度が0℃で、気体=蒸気になる温度が100℃。
もともとは絶対零度という基準があります。でも、こんな超低温なんて一般人の日常生活にはまったく縁がありません。この基準でいくと、水が氷になる温度が273℃、人間の体温は310℃ということになります。ピンときませんよね。
それに温度の区切り幅も生活に合っていなければ使いにくい、ということで一番身近な水を基準にすることにしたそうです。水が液体から固体に変わる温度、すなわち氷になる温度を摂氏0度と決めた。
そして、液体である水が沸騰して気体に変わる温度を摂氏100℃と取り決めた。あとはそれを100等分して、さらに1度を細かく区切ってできたのが摂氏です。
普段使う水が基準になっているので分かりやすいのですが、区切りの単位が大きすぎていまいち使い勝手が良くないのでもう少し細かく区切ろう、ということできたのが華氏という基準です。
そして、この水の温度をそのまま空気の温度に当てはめたのが気温ということになります。
伝導熱も対流熱も、摂氏温度での表現とヒトの体感はほぼ一致します。人間も大半が水でできていますからね。
36℃の水温はぬるく感じて、気温だと36℃は暑く感じるのはこういう原理です。実際に触れているのといないのとでは体感温度はまったく違うということです。
サウナに例えるとよくわかるでしょう。100℃の水に入ったら間違いなく火傷を負いますが、サウナの100℃なら問題ありません。水の100℃と空気の100℃ではまったく違うのだということのいい例ですね。
でも輻射熱だけはこれが通用しないんです。だって輻射熱そのものは熱を持っていないのですから。
輻射熱は物体に当たって初めて熱を発するのです。だから、夏場に体温より気温が低いのに暑く感じるのは、輻射熱があたった自分が発熱しているからなんです。そういう意味では外気温はあまり関係ないと言えます。あくまで輻射熱の量によって体感温度が決まる、ということです。
なので体温と気温を同じ土俵で比較するのは、あまり現実的ではないんですよね。
暑いとか寒いとかいうのは、多分に感じ方に左右されるものです。感じ方の個人差もあります。体温は自分自身の温度なのに対し、気温は自分より外側の温度。
自分自身には関係ないのです。いくら気温を正確に計ったとしても、外から強烈は輻射熱がやってくれば、気温は25℃なのに体感温度は50℃なんてことも瞬間的にはあり得るのです。
次回は輻射熱の性質について考えてみます。