『暑寒を制す』⑰遙か遠くの太陽から地球まで熱が届けられる仕組みが理解できた。「輻射熱」の性質をよく理解することで熱を制することも見えてきた。
外気温が30℃を超えるような天気の時は、やはりそれなりに多くの輻射熱が発生しているはずです。
太陽からの贈り物である『輻射熱』は地表にある物体を温めますが、輻射熱自体はその物体を温めてとどまるものと、反射をしてまた他の物体にぶつかり、その物体を温めて反射して…という現象が際限なく続いていく性質があります。
もちろん減衰はすると思いますが何回ぶつかったらゼロになるなどというセオリーはありません。ゼロになるまでぶつかり続けるか、まっすぐ飛び去るか、電磁波のみ知る、ということになりますね。
同時に、暖まった物体それ自体も輻射を始めるという二次輻射も発現しますから、更に輻射熱が放出されることになります。そして、その先は元の輻射熱と同じように反射を繰り返します。
このある意味やっかいな輻射熱を制するためには、まず室内に入れないことが重要なのですが、二次輻射も防ぐことを考える必要があります。
たとえば外壁に当たった電磁波はどうなるのでしょう。
電磁波の周波数や壁材によって反射するものと通過するものに分かれます。
室内に侵入した電磁波は室内の物体にあたって熱を発します。人間にあたっても同じです。
熱あるものは必ず輻射します。
私たちだって37℃なりの電磁波を輻射熱として放射しているんです。
一方反射した電磁波でも外壁を熱するという現象は引き起こしています。つまり、電磁波があたったことで外壁が温められます。するとその熱が壁の内側まで伝わります。
そうして今度は壁の内側から輻射を始めます。あとは、先に到達した透過組と同じような現象を引き起こします。
特に窓ガラスは多くの電磁波が通過しますから、室内にはより多くの電磁波が到達し、より多くの物体に熱を発生させるので、たまらなく暑くなるわけです。
ここで注目すべきは、内壁に伝わって電磁波を発するのは輻射熱の仕業なのですが、外壁から内壁へ温度が伝わるのは輻射熱ではないのです。
これは壁という物体を熱が伝わっているので伝導熱です。ややこしいですよね。
でも二次輻射を防ぐためにはこの伝導熱を遮断すればいいのです。それがヒントです。この先は少し技術的な話になるので割愛しますが、この二重の輻射熱地獄を制御する方法はあります。
人間は炎天下の室内にいると、まるで電子レンジの中の食材のようなものなのです。しかも自分でも熱を発し輻射を始めるので、知らずうちに室温の上昇に寄与してしまいます。しかも、この輻射は自分でコントロールすることは一切できないのです。
次回は室内の熱源について探っていきます。