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『暑寒を制す』⑧そのためには、熱移動がカギを握ることがわかった。コイツを知って熱を制すれば、省エネ快適空間にするのは簡単だった。

熱の伝わり方は3つあります。年代によって違うと思いますが、小中学校で習ったそうですが、覚えてませんよね。言われると「ああそうだった!」と思い出せると思いますが。

まず1つ目は、伝導といわれる触れることで伝わる熱移動です。握手をしたときに相手のぬくもりを感じたり、熱いやかんに触ってやけどするのも伝導熱です。一番身近な熱伝導かもしれません。

もうひとつ身近なのが、対流とよばれる熱伝導です。空気は温かくなると軽くなり上昇します。そうすると、相対的に低温の空気が降りてくることで温度が交わる現象です。

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台風がいい例ですが、規模が大きいのでわかりにくいかもしれませんので、ちょっと簡単にメカニズムを説明してみます。

主に赤道付近で温められた海水は、水蒸気となって空気中に浮いてきます。そうすると、それが上昇気流となって空へと上がっていきます。遠くから見るとキレイな入道雲になっていたりしますが、現場は大変です。

イメージ的には空から吸い上げられるような環境になりますから、気圧が下がります。掃除機みたいなものですね。低気圧というのはこういうことで生じます。

こうして発生した積乱雲がやがては台風に成長するわけですが、水蒸気が空に昇っただけでは対流は成立しません。

昇った水蒸気はどこへ行くのでしょう?宇宙に突き抜けちゃいますか?

いいえ、昇った空気は必ず降りてきます。ただし、別のところで。

日本の上空なら偏西風が吹いていますので、基本的には西側のどこかで降りてくるのですが、そのためには重い水蒸気を下ろさなければなりません。

上空で冷たく冷やされることで、大雨を降らせて身軽になった乾いた空気がどこかから降りてくるのです。今度は吹き下ろすように。これが高気圧の正体です。高気圧が晴れているのはこのためです。乾いたと言っても夏場はそれなりに湿気を帯びていますが。

こうして地球規模の対流が起こるのです。

夏場は暑いので気がつきにくいのですが、結構強い風が吹いているのです。あちこちで。これは対流によって空気が動かされているから、と考えられます。

また、高気圧は目に見えないので飛行機がうっかりはまったりすると、急降下で一気に高度が下がったりするのです。

飛行機は前に進んでいますので、上からの吹き下ろしからはいずれ逃れることができるので墜落することはないようですが、怖いですよね。

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そして3つ目が放射(輻射)。聞いたことありますよね。放射熱とも輻射熱ともいいますが、ここではイメージに近い輻射熱ということばで統一します。

でも、これがくせ者なんです。輻射熱は熱として直接伝わらないんです。

では、どうやって伝わるのでしょう。物質の持つ熱は電磁波として放射されます。どんな物質でも熱を持っていれば、熱を電磁波として放射します。熱と電磁波については過去の記事を参照してください。

放射された電磁波はほかの物質にぶつかってはじめて熱を発生させます。ですから、伝わる空間に熱は発生しないのです。ちょうど宇宙空間では太陽熱が決して宇宙空間を熱しないのと同じです。

実際には空気(酸素や窒素、不純物など)にあたってその都度小さな発熱は起こしています。

この電磁波は光速で進むので、輻射熱とは光速で熱を伝える、ということが言えます。熱を持つモノは例外なく輻射熱を発します。わたしたち人間も100%輻射熱=電磁波を発しています。もちろん目には見えず、においもしません。

肉眼では見えなくても赤外線カメラであれば夜間でも見ることができるのはこういう原理です。

そうです、暑さの元凶は熱そのものではなく、輻射熱だったんです!

こいつをなんとかすれば、快適なんて簡単、なんです。

次回は、地球を温めていたのは太陽の「熱」ではないという衝撃の事実に迫ります。

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