ワクチンによる因果関係を否定できない「ギランバレー症候群」の報告
6月10日に、ファイザー社製、モデルナ社製コロナワクチンの添付文書が改訂されました。重要な基本的注意として、これまで書かれていなかった「ギランバレー症候群」が追記されています。
添付文書の改訂
改訂された理由については、厚労省のサイトで公開されています。
資料1-9 コミナティ筋注及びコミナティ筋注5~11歳用の添付文書の改訂について
資料1-9 コミナティ筋注及びコミナティ筋注5~11歳用の添付文書の改訂についての58ページ以降に、ギランバレー症候群として報告された事例の一覧があります。
これらの状況を総合的に勘案し、コミナティ筋注及びスパイクバッ
クス筋注の添付文書を改訂。「8.重要な基本的注意」の項で、ギランバレー症候群 について、接種後に疑い事例の報告があること及び、ギランバレー症候群 が疑われる症状が認められた場合には、直ちに医師等に相談するよう、あらかじめ説明することを注意喚起することになったようです。
そして早速、添付文書が改訂されていました。以下は、改訂前。左上に改訂年月が書かれています。
こちらが、6月改訂後の添付文書。
このように、ギランバレー症候群に関する注意が追記されています。
添付文書は改訂されるとリンク切れになってしまうので、下記のページから最新版をご確認ください。
ファイザー社
モデルナ社
ギランバレー症候群については、厚労省のサイトで重篤副作用疾患別対応マニュアルが公開されています。
重篤副作用疾患別対応マニュアルが公開されているページには、他のワクチンでのギランバレー症候群が報告された件数が書かれた資料もあります。
参考資料等 (PDF:225KB)(令和4年2月時点修正)
先ほどの資料で、接種開始から令和4年5月 15日までに製造販売業者から報告された国内の新型コロナワクチン接種後の副反応疑い報告において、コミナティ筋注では 181 件、うち「α:ワクチンと症状名との因果関係が否定できないもの」とされた事例(以下「α症例」という。)が 15 件報告されている、とありました。
※先行接種が開始されたのは、2021年2月17日
因果関係が否定できないものは15件ですが、因果関係の評価ができないものが166件。この中には、関係があるものも含まれているかもしれません。その可能性も考えると、実際はもっと多いと思います。
追記された症状
添付文書の改訂に合わせて、接種券と一緒に送られてくる説明書も改訂されていました。
改訂前の説明書には、ギランバレー症候群のことは書かれていませんでした。
さらに遡ると、心筋炎のことさえ書かれていませんでした(Vol.27参照)。
当初は書かれていなかった症状が、接種開始1年ちょっとで2回も追記されています。
厚労省のサイトでは、心筋炎やギランバレー症候群は、当初から医師への「副反応疑い報告のお願い」に、積極的に報告してほしい症状として挙げられていました(Vol.23参照)。
現在は、心筋炎は抜けていますが、逆に「報告の対象」となっています。
今後、ADEM、血小板減少性紫斑病、無菌性髄膜炎などが追記される可能性もあると思います。
ギランバレー症候群として報告するためには、医師が下記の調査票を提出する必要があります。その際に、検査項目で実施していないものがあると因果関係の評価などにも影響するようです。例えば、前述の資料にあった症例一覧に、「ギラン・バレー症候群について:腱反射の記載がない。GBSに合致する電気生理検査・髄液検査の結果の記載がない」と書かれて、評価不能(γ)となっている事例がありました。
もし、ギランバレー症候群かもしれないと思って受診する場合は、下記の調査票を事前に確認しておいた方がよいと思います。他の症状でも、検査項目が足りずに、因果関係の評価不能になっているものが多数あります(下記参照)。