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3回目接種後、心筋炎(13歳、14歳、15歳)

厚労省のサイトで、新型コロナワクチン接種後に起きた副反応疑いの報告が公開されています。9月2日に新たな報告が公開されましたが、3回目を接種した10代の報告が増えている印象です。そして、この記事を書いている途中で、9月にまたファイザー製コロナワクチンの添付文書が改訂されていることに気がつきました!

3回目接種後の心筋炎

10代では、3回目接種後の心筋炎が多数報告されていました。その中から、13歳~15歳の事例をいくつか取り上げます。

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(予防接種・ワクチン分科会 副反応検討部会)> 第83回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和4年度第11回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)9月2日資料

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000208910_00049.html


資料1-2-3-1   薬機法に基づく製造販売業者からの副反応疑い報告状況について(コミナティ筋注・集計対象期間における基礎疾患等及び症例経過) より


紹介する報告は、重複している部分などは編集してあります。BNT162b2は、コミナティ筋注(ファイザー製)のことです。時系列で追えるように、順番を入れ替えたりしています。

事例:20211 13歳男性 コミナティ筋注3回接種 ロット番号:FT9319

関連する病歴はなかった。併用薬はなかった。家族歴はなかった。
ワクチンの予診票での留意点はなかった(基礎疾患、アレルギー、最近 1 ヶ月以内のワクチン接種や病気、服薬中の薬、過去の副作用歴、発育状況など)。

臨床経過:
2022/06/20 14:30、BNT162b2(コミナティ、3 回目(追加免疫)接種。
2022/06/21 朝から発熱。
2022/06/22 夕から解熱したが胸やけ様の前胸部圧迫感を感じていた。
2021/06/22(ワクチン接種 2 日後)、患者は心筋炎を発現した。
2022/06/22、患者は急性発症の胸痛又は胸部圧迫感を発現した。

2022/06/23 早朝から胸痛強く、報告病院の救急外来を受診した。しかし、血液検査で心筋逸脱酵素の上昇を認め心筋炎疑いとして入院した。
患者は間欠的に胸痛の訴えあったが保存的に観察した。
2022/07/12、事象の転帰は回復であった(治療なし)。

報告医師は、事象を入院/入院期間の延長(入院期間4日間)と
分類した。報告医師は事象を重篤と判断し、BNT162b2 との因果関係ありと評価した。他要因(他の疾患等)の可能性はなかった。

報告医師のコメントは以下の通り:
13 歳男児、3 回目のワクチン接種。典型的な発症の経過から副反応の心筋炎と思われる。心不全、または駆出率低値歴、基礎疾患としての自己免疫疾患、心血管疾患歴、肥満の病歴はなかった。

https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000983378.pdf

1回目と2回目の製造販売業者不明という報告がいくつかありますが、12~17歳はミスでもない限りファイザーでしょう。


事例:20222 15歳男性 コミナティ筋注3回接種 ロット番号:不明

関連する病歴、併用薬は報告されなかった。
ワクチン接種歴は以下の通り:
Covid-19 ワクチン(1 回目、製造販売業者不明)
Covid-19 ワクチン(2 回目、製造販売業者不明)

臨床経過:
2022/06/14、BNT162b2(コミナティ)の3回目接種を受けた。
2022/06/14 20:00 頃(ワクチン接種後)、後頭部の痛み、摂氏38 度の発熱が出現した。
2022/06/15、摂氏 38 度の発熱は軽快した(報告の通り)。
2022/06/17 0:40 頃、胸部正中の刺される痛みが出現し、呼吸苦左腕全体の痺れも出現したため、救急車で当院へ搬送された。トロポニン I 値高値(12.00 ng/mL)、心電図 ST 上昇があり、急性心筋炎と診断した。症状は自制内で、ご家族のご希望により自宅療養と通院で経過観察の方針となった。

翌 2022/06/18、患者は外来受診した。胸痛、炎症反応、トロポニン I 値は低下傾向であった。完治するまで自宅療養で経過観察することを指導し、2022/06/25 再診、再検査の予定とした。
2022/06/25、事象の転帰は回復であった。報告医師はこれらの事象を重篤(障害につながるおそれ(MS にチェック))と判断し、BNT162b2 との因果関係ありと評価した。他要因(他の疾患等)の可能性はなかった。

報告医師の意見は以下の通り:
新型コロナワクチン接種後の急性心筋炎である。心機能の低下は無く、CK645 から 81、トロポニン 12.0 から 0.01、CRP2.3 から0.05 未満であった。心電図 ST 上昇も改善し、治癒と判断した。

https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000983378.pdf


事例:20147 14歳男性 コミナティ筋注3回接種 ロット番号:FP9647

患者の関連する病歴と併用薬は報告されなかった。
ワクチン接種歴は以下の通り:
Covid-19 ワクチン(1 回目、製造販売業者不明)
Covid-19 ワクチン(2 回目、製造販売業者不明)

臨床経過の詳細は以下の通り:
ワクチン接種の前の体温は不明であった。患者には家族歴はなかった。ワクチンの予診票での留意点はなかった(基礎疾患、アレルギー、最近 1 ヵ月以内のワクチン接種や病気、服薬中の薬、過去の副作用歴、発育状況など)。

事象の経過は以下の通り:
2022/06/02、患者は COVID-19 ワクチンの 3 回目を接種した。
2022/06/03、朝に摂氏 37 度台の微熱と頭痛が発現した。午後になり、胸痛が発現した。2022/06/04、胸痛が継続し、広範囲に増悪したため、救急搬送を依頼した。2022/06/15、事象の転帰は軽快であった。報告医師は、事象を重篤(2022/06/05 から2022/06/11 まで入院)と判断し、事象と BNT162b2 との関連ありと評価した。他の疾患など、他の要因の可能性はなかった

https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000983378.pdf

1回目と2回目のロット番号が同じという報告が時々ありますが、同じということはあるのでしょうか?

事例:20109 14歳男性 コミナティ筋注3回接種 ロット番号:FP9647
ワクチン接種歴は以下のとおり:
2021/11/26、コミナティ( 1回目、ロット番号:FL1839)
2021/12/17、コミナティ( 2回目、ロット番号:FL1839)
反応:副反応はなかった。

2022/06/10、 BNT162b2(コミナティ)3回目接種。
その翌日(3 回目のワクチン接種 1 日後)、胸のチクチク感があり、発熱、発汗があった。
その翌日(3 回目のワクチン接種 2 日後)、自然解熱したが、前胸部痛、発汗が持続した。呼吸困難があり経口摂取もすすまない状態であった。

2022/06/13(3回目のワクチン接種 3 日後)、前胸部痛、発汗が持続するため、救急要請され搬送された。心電図前胸部誘導、I,II,aVF で ST 上昇、胸写、年齢に比し心肥大あり、エコー瀰漫性壁運動低下、採血 TnI 15615、CK 1048、AST 118、ALT 61、LDH 325 と心筋逸脱酵素の上昇があった。急性心筋炎に伴う心機能低下から、血行動態破綻する可能性も考えられ集中治療室へ入院管理とした。事象名は心筋炎として報告された。事象発現日は、2022/06/13(3 回目のワクチン接種 3 日後)と報告された。

報告医師は、事象を重篤(2022/06/13 からプライバシー病院に入院)と分類し、事象と bnt162b2 との因果関係は評価不能と判断した。
他要因(他の疾患等)の可能性については提供されなかった。

https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000983378.pdf


事例:20055 13歳男性 コミナティ筋注3回接種 ロット番号:不明

患者の関連する病歴と併用薬は、報告されなかった。
ワクチン接種歴は以下の通り:
COVID-19 ワクチン(1 回目、製造販売業者不明)
COVID-19 ワクチン(2 回目、製造販売業者不明)

臨床経過:
2022/06/18、BNT162b2(コミナティ)3 回目接種。
同日、発熱と嘔吐が発現したと言った。
2022/06/22、発熱は摂氏 36.6 度に解熱した。のどがしめつけられる痛みと胸の痛みが確認された。患者は別の病院に紹介された。急性心筋炎、急性胃腸炎と診断され、入院となった。
2022/06/24、症状は消失した。
2022/06/27、検査結果により軽快であった。
別病院の医師はワクチンの副反応の疑いで、因果関係は否定できないとの意見であった。
2022/06/21、下痢が発症した。
2022/06/27、下痢の転帰は軽快であった。
2022/06/21、胸の痛みが発症した。
2022/06/27、胸の痛みの転帰は軽快であった。
2022/06/22、のどがしめつけられる痛みが発症した。
2022/06/27、のどがしめつけられる痛みの転帰は軽快であった。
報告者は発熱、嘔吐、下痢、のどがしめつけられる痛みを非重篤に分類した。
報告者は胸の痛みを重篤(入院または入院期間の延長の原因となる)に分類した。報告者はこれらの事象発熱、嘔吐、胸の痛み、のどがしめつけられる痛みと BNT162b2 との因果関係を可能性大と評価した。
報告者は事象下痢と BNT162b2 との因果関係を可能性小と評価した。

https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000983378.pdf

事例:19949 14歳男性 コミナティ筋注3回接種 ロット番号:FN9605

患者の関連する病歴は以下の通り:
「不安神経症」、開始日:2022/04(継続中)。
併用薬はなかった。
ワクチン接種歴は以下の通り:
2021/10/09 コミナティ(ロット番号:FF5357)1回目接種。
2021/10/30 コミナティ(ロット番号:FF5357)2回目接種。
反応:「不安神経症」
ワクチン予診票での留意点(基疾患、アレルギー、最近 1 ヶ月以内のワクチン接種や病気、服薬中の薬、過去の副作用歴、発育状況等)はなかった。その他の病歴はなかった。

臨床経過:
2022/06/04、BNT162b2(コミナティ)3 回目接種。
2022/06/05 未明、発熱、頭痛、息苦しさを訴えた。夜間急病センターを受診し、心電図で異常はなかった。
2022/06/06 深夜、胸痛と息苦しさを訴え、同センターを受診した。心電図 I、II、III の VF で ST 上昇が観察された。トロポニン T 陽性で、心筋炎が疑われた。患者は心筋炎と診断された。
病理組織学的検査は行われなかった。
2022/06/06、急性発症の胸痛又は胸部圧迫感が発現した。
心臓 MRI 検査は実施されなかった。その他の画像検査は実施されなかった。臨床症状を説明可能なその他の疾患が否定されている。

2022/06/09 には症状はほとんど消失しており、心電図検査も前日検査同様の所見であった。患者は治癒経過にあると判断し経過観察とした。2022/06/10 の採血検査では心筋酵素、炎症反応の改善を認めた。エコー検査で壁運動は良好であった。同日から点滴加療を中止した。2022/06/11 から 2022/06/13 症状再燃がないことを確認した後に、約 2 週間後の 2022/06/30 に報告者の外来でフォローする方針として、2022/06/14 に自宅退院した。
2022/06/14、事象の転帰は軽快した。

報告医師は、事象を重篤(2022/06/07 から 2022/06/14 まで入院)と分類し、事象は BNT162b2 に関連ありと評価した。

報告された心筋炎は劇症型でなかった。患者は、重篤(重篤性基準:入院/入院期間の延長、入院期間:2022/06/07 から 2022/06/14)として評価された急性心筋炎を発症した。
事象は、新たな薬/その他の治療/処置の開始を必要としなかった。
入院時の診断は、急性心筋炎(COVID-19 ワクチン接種関連)であ
った。

患者にあった危険因子または他の関連する病歴は下記のように報告された:
心不全または駆出率低値の病歴なし、基礎疾患としての自己免疫疾患なし、心血管疾患歴なし、肥満でない。

https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000983378.pdf

今回取り上げた事例では「因果関係あり」と評価する医師が多い中、「評価不能」とする医師もいます。添付文書で「重大な副反応」として書かれているのに、専門家会議でも「評価不能」となっています。

令和4年8月7日までに報告された心筋炎疑い228事例

https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000983406.pdf

https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000983406.pdf

ブライトン分類レベル1~3が症例定義に合致するもの、4~5は合致しないもの。検査項目が足りない場合などは、「レベル4:心筋炎として報告されたが、十分な情報が得られておらず、症例定義に合致すると判断できない」とされてしまいます。

https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000983406.pdf

※評価記号
α:「ワクチンと症状名との因果関係が否定できないもの」
β:「ワクチンと症状名との因果関係が認められないもの」
γ:「情報不足等によりワクチンと症状名との因果関係が評価できないもの」

ブライトン分類レベル1~3の年齢別性別報告件数(令和3年12月6日~令和4年8月7日)

https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000983406.pdf

他の年代より、10代が多いです。

添付文書 より

添付文書で心筋炎は「重大な副反応」として書かれていますが、「頻度不明」。多いか少ないかもわからないのは、とても怖いことだと思います。

添付文書がまた改訂!!

この記事を書いている途中で添付文書を確認したら、9月に入ってからまた改訂されていました!

前回の改訂については、下記参照。


添付文書より
添付文書より(第17版)
添付文書より (第16版)

「錯感覚、感覚鈍麻」も頻度不明です。こうやって少しずつ、接種が始まった頃には書かれていなかった副反応が追記されています。けれども、テレビではそのことに触れません。6月にギランバレー症候群が追記されたときも、大手メディアはそのことを広く知らせようとはしませんでした。

リンク切れになるかもしれませんが、下記は第4版の添付文書です。ここには、「心筋炎」についても「ギランバレー症候群」(添付文書8.7)についても、まだ書かれていません。PMDAのサイトで公開されている最新版(第17版)の添付文書と比べてみると、どれだけ追記されてきたかがわかります。

https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000796568.pdf (第4版)

添付文書は、まだまだ改訂されるでしょう。医師に相談しても、今後何が追記されるかはわかりません。

「努力義務」は、義務とは異なります。厚労省も、「接種は強制ではなく、最終的には、あくまでも、ご本人が納得した上で接種をご判断いただくことになります」と言っています(下記参照)。「努力義務」という言葉に惑わされずに、納得するまで自分で調べて考えた結果は、尊重されるべきだと思います。