IHR改正案の脚注に追加された「WHOの事前認証」とは?
2024年 4月22日~26日、 IHR改正の作業部会(第8回 WGIHR / 8)が行われています。SNSでも改正案に関する情報が出始め、よい方向に変わったという見解も出ているようですが、まだ最終決定ではありません。WHOのステークホルダーである「Third World Network」のサイトにも、第8回WGIHR会議で議論されている内容に関する記事がありました。それを元に掘り起こした資料から見えてきた、WHOの事前認証について取り上げます。
IHR改正作業部会の資料
ステークホルダーについては、下記の記事で取り上げました。
関連利害関係者のリスト
Modalities of engagement for relevant stakeholders
「Third World Network」は、
Annex E: Other stakeholders, as decided by the INB, invited to provide inputs to the INB (via anelectronic portal, an open “hearing”, and/or a segment of a session)の95にあります。
非公開の会議には参加できないようですが、議論の内容を知ることができ、意見を言える立場ということだと思います。
2024年4月22日の記事より
多くのことが書かれていて頭がクラクラしてきますが、私が気になったのは下記の部分です。
附録第 6 (予防接種、予防薬及び関連証明書)の部分に、脚注を追加するという事務局の提案があったと書かれています。
さらに、同様の脚注が、附録第 6 の一部である「予防接種又は予防薬に関する国際証明書の様式」部分にもあると書かれています。
WHOのサイトで公開されている原文を確認しました。
56ページ Annex 6
3の最後にあるWHOに1として、下記の脚注が追加されているのです。
59ページにも、下記の文章があり同じ脚注が追加されています。
脚注には、「WHOによって承認された」とは、WHO 事前認証 (PQ) の手順に基づいてWHO によって評価およびリスト化された製品を指すとあります。
厚労省が公開している改正前の仮訳を見ると、確かに脚注はありません。
附録(仮訳)(PDF)
この「WHOの事前認証(PQ)」は以前、下記の記事で取り上げましたが、日本がこれからワクチンを輸出するためにはPQが不可欠だという資料が多数ありました。
WHOの事前認証(PQ)
PQの手順については、下記のページに書かれています。
申請すると、WHO スタッフと各国規制当局の専門家によって評価されるようです。申請費用について調べてみたら、かなり高額!
申請費用のほか、認証された後も認証のステータスを維持するために年間維持費がかかるようです。一度認証したものに対して、なぜ維持費が必要なのでしょうか。まるで悪質な資格商法の手口です。
下記は三菱UFJリサーチ&コンサルティングによる資料(2017年)ですが、これと比べるとかなり値上がりしていることがわかります。
「WHO Prequalification概要に関する自主調査報告」
2017年3月14日
このようなシステムでは、申請費用の出せない国は、自国で作ったワクチンをWHOに事前認証してもらうことはできないでしょう。そうなれば、結局、WHOが決めたようにワクチン接種が進められてしまいます。WHOに申請費用が支払える国の、WHOのステークホルダーになっている団体に加盟している製薬会社の、WHOに事前認証されたワクチンが「承認されたワクチン」とされることになるのではないでしょうか。
途上国は、ワクチンへの「公平なアクセス」を求めてIHR改正やパンデミック条約(仮称)の交渉を続けていますが、このようなやり方で「公平なアクセス」が実現できるとは思えません。ワクチンの分配についての約束も、今の草案(パンデミック条約)には書かれていないのでもめているようです。
そもそも、途上国が「必要なワクチンは公平に分配して!」と要求しているのは、WHOがmRNAワクチンの偏った情報ばかりを伝えているからなのでしょうか。強制接種になるのではという不安を感じている私たちとは、逆なのが不思議です。
WHOの事前認証に関して、日本は補助金まで出しています。資格商法のよいカモにされているとしか思えませんが・・・。
WHOは、PQで得たお金をどこに使っているのでしょうか・・・。
官房長官の発言
先日の会見で林官房長官は、ワクチンとワクチンパスポートについて質問されたのに、ワクチンパスポートについては答えませんでした(下記参照)。
会見では、「我が国においては、予防接種は対象者またはその保護者がそれを受けるか否かを判断するものでありまして、接種が強制されるものではないということでございます」と言っていました。けれども、強制でなくても、WHOが事前認証したワクチンを接種していないと行動が制限される可能性はあるのではないでしょうか。
これは推測ですが、強制ではない形でワクチン接種をせざるを得ない状況が作られる可能性があるから、官房長官はワクチンパスポートについては答えなかったのではないでしょうか。
IHR改正やパンデミック条約に関する資料は専門用語なども多くて難しいので、読んでいるだけでクラクラしてきてしまいます。翻訳サイトを使っても、まわりくどい言い方をしていたりするので、よくわからない部分も多いです。専門的なことはわからないので、間違いもあるかもしれませんが、自分が調べたことが誰かの役に立つかもしれないので記事にまとめました。
自分や家族の身を守るためには、たとえわかるところが少ししかなかったとしても、自分で確認しようとすることが大切だと思います。その「少し」の中から、重要なことが見えてくるかもしれません。見えてきたことと、他の人の考えをつなぎ合わせたら、多くのことが見えてくるはずです!