オミクロン株(BA.1)対応ワクチンは、アメリカでは使用許可が出ていない!?
9月13日に、特例承認(承認事項の一部変更を特例承認)されたオミクロン株対応ワクチン(2価ワクチン)の添付文書が公開されていました。PMDAのサイトには、「特例承認に係る報告書」も公開されています。
オミクロン株対応ワクチンの添付文書
2価ワクチンと呼ばれるオミクロン対応のワクチンの販売名は、「コミナティRUT筋注」。厚労省のサイトでも、お知らせが出ています。
PMDAのサイトでは、添付文書、審査報告書などが公開されています。
オミクロン株対応ワクチン(2価ワクチン)に関する情報
2価ワクチンが特例承認されたことにより、起源株(1価ワクチン)ワクチンの添付文書も改訂されていました。
起源株(1価ワクチン)ワクチンに関する情報
2つを比べてみると、添加剤にも違いがあります。
有効成分のリルトジナメランは、「オミクロン株 BA.1 系統の S タンパク質をコードする mRNA 」とのこと。
「RTU」って何だろうと思ったら、「Ready To Use」のことなんですね。添加剤が変わったので、保存方法が変わったり、希釈不要になったのだと思います。
つまり、ついに紫キャップからグレーキャップになったということです。
冷凍保存、冷蔵保存、解凍方法など書かれていますが、1回限り冷凍に戻して保存できるとか、冷蔵庫で解凍したら再冷凍できないとか、1価ワクチンだけでも複雑なのに、2価ワクチンがまた違う保存方法となり、医療現場は混乱しないのでしょうか。
そして1価ワクチン同様、「予防効果の持続期間は確立していない」ワクチンです。
特例承認に係る報告書
PMDAのサイトでは、特例承認に係る報告書も公開されています。今回、黒塗りはありませんでした。
追記:
すでに親ワクチンが特例承認されているので、「承認事項の一部変更を特例承認」ということのようです。
7.R.3 有効性について
ここにも、「持続性については不明」と書かれていますが、その他にものすごく気になる表現がありました。
「改善が期待できる可能性はある」という表現、初めて見ました。
「改善が期待できる」とか「改善の可能性がある」ならわかりますが、「改善が期待できる可能性はある」って、どんだけ弱気?
「安全性については、親ワクチンと同様に許容可能であり」とあります。けれども、「本邦で実施した親ワクチンの特定使用成績調査(C4591019)において新たな安全性の懸念は認められていない」という部分が納得できません。
「因果関係の評価不能」で放置している事例がたくさんあるのに、なぜ懸念は認められていないと言えるのでしょうか。
添加剤も変わっているのに、日本人に対する臨床試験は行われていないようです。登録例数も多くはありません。
アメリカではすでにBA.5対応!
FDAのファクトシートを確認しようと思ったのですが、アメリカではすでにBA.5対応のワクチンが緊急使用許可されていました。
Dear Healthcare Provider Letter
Subject: Pfizer BioNTech COVID-19 Vaccine, Bivalent –
New Vial Presentation Available to Provide Booster Doses for Ages 12 years and older
FDAのファクトシートは、すでにBA.5対応のものに更新されていて、過去の分を見ることができません。
https://www.fda.gov/media/161327/download
The Pan American Health Organization (PAHO)のサイトに、使用許可がでているリストがありました。
BA.1対応は、FDAの緊急使用許可が出ていません。
BA.5対応は、FDAの緊急使用許可が出ています。
BA.1を使っている国はほとんどないようで、上記のリストではEUが9月1日と書かれており、イギリスでも9月3日にお知らせが出ていました。
ということは、まだ販売されたばかりということです。
審査報告書には、申請したのは「令和4年8月8日」と書かれています。審査している間に、海外での販売は認められていたのでしょうか? 審査するのに十分なデータを、海外の販売例から知ることはできたのでしょうか?
今回の2価ワクチンは、FDAも緊急使用許可を出していないワクチンであり、「オミクロン株による COVID-19 の発症予防効果の改善が期待できる可能性はある」としか書きようがないワクチンであり、日本人での臨床試験も行われていないワクチンです。なぜこれが、特例承認されたのでしょうか。